西側と中ロの狭間で迷えるジョージア...10月議会選は「戦争か平和か」を選ぶ、「最後のチャンス」に?
THE WEST IS LOSING ANOTHER COUNTRY
西側からの批判にジョージアの夢は強硬姿勢を強めている。先日は、10月の選挙で勝ったら野党の統一国民運動を違憲とすると述べた。彼らが言うには、統一国民運動は外国が組織した「グローバル戦争党」なるものを支持している。
この組織はウクライナの戦争を長引かせ、ジョージアからロシアに新たな戦線を仕掛けようとしており、LGBTQ+(性的少数者)の権利など「えせリベラル」なイデオロギーを擁護している張本人だという。
また、ジョージアの夢は物議を醸したパリ夏季五輪の開会式を、ジョージアの伝統的な家族観と未成年者を守るために新たな法律が必要な理由だと有権者に訴えている。
「10月の議会選挙は一種の国民投票であり、戦争か平和か、道徳の低下か伝統的な価値観か、外部勢力への従属か独立主権国家か、ジョージア国民は最後の選択を迫られる」
そして、自分たちが再び与党として選ばれることによってのみ、EUおよびアメリカとの関係を再構築できると、ジョージアの夢は主張する。
これに対し野党陣営は、公正な選挙で自分たちが勝利できると主張する。彼らが強調するのは、ジョージアのEU加盟が国民に支持されていることだ。昨年末にトビリシの非営利団体、国家民主主義研究所が行った世論調査では、加盟支持は80%近くに達している。
多くのジョージア国民は、ヨーロッパのよりリベラルな社会政策に必ずしも賛同しないかもしれないが、EU加盟がもたらす移動、貿易、雇用、投資の自由を望む声は高まっている。
「問題は、ジョージアで機能している大規模な偽情報のメカニズムだ。彼らはメディアやチャットのチャンネルを持ち、インターネットを利用して、人々を洗脳するために大金を投じている」とワシュゼは語る。
ほかにも野党勢力が分裂状態であることなどジョージアの夢の優位を専門家は指摘する。同党の創設者でオリガルヒのビジナ・イワニシビリ元首相は国内で最も裕福な実業家で、首都を見下ろす鋼鉄とガラスの宮殿はジェームズ・ボンドの悪役の隠れ家にも例えられる。
「この国で選挙に勝つことは非常に難しい。約30万人の公務員が政府の影響下にあるため彼らを行政資源として悪用できる」と、カカヒアは言う。「さらにジョージア企業の80%が与党を支持している」