最新記事
米大統領選

ロシア発のフェイク動画が拡散...ハリスが関与したとされる「虚偽の事件」とは?

2024年9月24日(火)17時00分
リシ・アイエンガー(フォーリン・ポリシー誌記者)
ロシア、中国、イランのサイバー攻撃と選挙介入が立て続けに明らかに DA-KUK/ISTOCK

ロシア、中国、イランのサイバー攻撃と選挙介入が立て続けに明らかに DA-KUK/ISTOCK

<アメリカ大統領選を前に、ロシアによる偽情報の拡散が強まっている。ハリス副大統領に関する虚偽の事件が次々と広められ、選挙干渉の試みが浮き彫りになった>

11月5日の米大統領選投票日まで残り40日余り。この10日ほどは、アメリカと敵対する国々が選挙への干渉や妨害に精を出していることが改めて浮き彫りになった。ロシア、中国、イランからのサイバー攻撃と選挙介入の動きが立て続けに明らかになったのだ。

9月17日発表のマイクロソフトの報告書によると、ロシアのサイバー団体が最近、ハリス副大統領への攻撃を強めている。例えば、ハリスの支持者がトランプ前大統領の選挙集会でトランプ支持者に暴力を振るう場面と称するニセ動画や、ハリスが自動車の引き逃げ事件に関係したというニセのニュース動画を拡散させているという。

【動画】ロシアのフェイクニュース拡散...ハリスが関与したとされる「虚偽の事件」とは?


バイデン政権は、ロシアによるニセ情報拡散などへの対抗策を強化してきた。ブリンケン国務長官は13日、ロシア政府系メディア「RT」がロシアの情報機関と直接結び付いたサイバー活動能力を擁しており、ロシア軍がウクライナ侵攻で用いる兵器を購入する資金を調達するためのクラウドファンディングも行っていると指摘して、RTへの制裁強化を発表した。

「全ての同盟国に対して、自国内でのRTの活動をほかのロシア情報機関の活動と同様に扱うよう強く促す」と、ブリンケンは語った。これを受けて、メタなどのテック企業も自社のプラットフォームからRTのコンテンツとアカウントを排除した。

18日には、FBIのレイ長官がもう1つの敵対国、中国からの攻撃をはね返したと明らかにした。

レイによると、中国政府の指示により活動するハッカー集団「フラックス・タイフーン」は、ネットに接続した数十万台のカメラやストレージなどに侵入して巨大なネットワークを構築し、スパイ活動や重要システムの攪乱を行おうとしていたという。「最終的に、自分たちが対峙している相手がFBIなどであることに気付いて、ネットワークを放棄した」とのことだ。

米政府が中国のハッカー集団に対するサイバー作戦を実行したのは、昨年12月に続いてこの1年間で2度目だ。こうしたことは今後さらに続くだろうと、米政府関係者は指摘している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ガザ軍事作戦拡大 国連診療所などへの攻

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中