台湾「第3の党」トップまさかの逮捕で広がる混乱...「クリーンで若者に人気」柯文哲に何があったのか?
Dramatic Corruption Claims
ほかに身柄を拘束されたのは、柯の部下で副市長だった彭振聲(ポン・チェンション)と、仲介役として動いたとされる台北市議会の應曉薇(イン・シアオウエイ)議員(国民党)だ。應には、パートナーが犯罪組織とつながりがあるのではないかという疑惑もある。
柯は当初、検察の事情聴取に任意で応じたが、家宅捜索は与党・民進党による民衆党への政治的弾圧だと強く非難していた。柯の妻・陳佩琪(チェン・ペイチー)も事情聴取を受けている。
その後、柯は深夜の取り調べを拒否したため、正式に逮捕された。その後72時間、台湾の政治報道は大混乱に陥り、果たして柯が保釈されるかどうかが注目された。一方で民衆党は、柯の無実を確信しているとの声明を出した。
アメリカ渡航直前?
メディア・パーソナリティーの周玉蔲(チョウ・ユィコウ)は、柯が9月1日にアメリカに渡航するつもりだったと主張し、法の手を逃れる試みだと断じたが、民衆党は否定し、渡航計画などはなかったとしている。
一方で、民衆党の常任委員会は緊急作業部会を立ち上げた。同部会を率いているのは、党内の立法委員団トップを務める黄国昌(ホアン・クオチャン)とされる。
柯が拘束されていた台北地検の外には支持者が集結。9月1日に行われた抗議集会には約500人が参加したと報じられている。
そうしたなかで民衆党は、柯の逮捕は政治的な迫害だと訴え、検察の真の狙いは京華城跡地の再開発をめぐる疑惑ではなく、党の政治資金にあるとの見方を示してきた。
翌2日、柯は保釈金なしでいったん釈放された。台北地裁は、柯の直接関与や違法行為の認識があったと認定するには検察側の証拠が不十分だと判断した。
これを受けて、地検の前に集まっていた民衆党支持者は歓喜の叫びを上げたが、検察側の即時抗告で事態は一転。5日には地裁の再審理で、柯の勾留請求が認められている。
一方で検察は彭振聲の拘束を継続。裁判所も、彭が今回の一件でのキーパーソンの一人との見方を示している。
いずれにせよ、柯への疑惑が解消されたわけではない。台北市都市計画委員会の元委員で台湾建築学会会長を務める曽光宗(ツォン・コアンツォン)は、柯が京華城プロジェクトについて嘘をついていると非難している。
やはり都市計画委に所属する邵秀佩(シャオ・シウペイ)も検察の取り調べを受けており、海外渡航を制限された。