トランプ参謀は共和党のキングメーカー(?)で陰謀論者で、推し候補「負け続き」のこの男
Jr. Isn’t the Best Adviser
その他トランプJr.が推した過激な候補の惨敗を挙げればキリがないが、最もお粗末な1件はミズーリ州上院議員選の共和党予備選でエリック・グライテンズ元知事を推したことだろう。グライテンズはリベンジポルノ疑惑で不倫相手に訴えられ、知事を辞任した人物。勝ち目がないのは分かりきっていた。
このように人を見る目はなさそうなトランプJr.だが、父親の信頼は厚い。22年にオハイオ州上院議員選に出馬したJ・D・バンスをトランプが推薦したのも息子の働きかけがあったから。この夏トランプがバンスを副大統領候補に据えたのもそうだ。NBCが次のように伝えている。
前大統領が、最近までほぼ無名だったノースダコタ州知事のダグ・バーガムに傾いていると示唆すると、その場が緊迫した。昨年12月に大統領選の候補指名争いから撤退したバーガムは、トランプより目立つ心配はない政治家だ。
すると、トランプJr.と次男のエリック・トランプが声を上げた。「彼らは激怒した。バカげている、彼は何も貢献していない、と。2人はひたすら『JD、JD、JD』という感じだった」と、このときの議論に詳しい共和党のベテラン選挙参謀は語っている。
劇的な演出に終始する
バンスは副大統領候補としてまれに見るほど人気がなく、本選の頭痛のタネになりそうだ。過去の結果を気にしないという意味では、トランプJr.は2022年のアリゾナ州知事選で敗れたカリ・レイクを11月のアリゾナ州上院議員選で再支持している。同州では大統領選の支持率はほぼ互角だが、上院選はレイクが民主党候補に大差をつけられている。
こうしたことから、ケネディJr.に関するトランプJr.の戦略の弱点が見えてくる。要は、戦略はないに等しい。
前大統領は共和党の従来からの献金者やアドバイザーと頻繁に交流しており、彼らは浮動票にアピールするという名目で、トランプに特定の社会規範や譲歩をのませるときもある。一方、トランプJr.は単なるドーパミン中毒で、集会やオンラインの崇拝と熱狂を大きなうねりにしようと目を光らせている。
このような支持基盤の醸成が、2016年の予想外の勝利を決定づけたことは事実だ。トランプJr.は当時、ネット上のオルト・ライト(新右翼)に対して父親の代理人を務めていたが、彼らの要求と好みは大半が厄介なものだった。
トランプとトランプJr.の下、共和党は直近の3回の選挙で劣勢に立たされた。最も熱心な支持者の間でバズるアイデアが、一般の選挙で最も役に立つとは限らない。