最新記事
米大統領選

トランプ参謀は共和党のキングメーカー(?)で陰謀論者で、推し候補「負け続き」のこの男

Jr. Isn’t the Best Adviser

2024年9月4日(水)17時15分
ベン・マティスリリー
トランプJr.

トランプJr.の存在感が高まっている ANTHONY BEHAR-SIPA USA-REUTERS

<党内で絶大な影響力を持ち、J・D・バンスを副大統領候補にし、ケネディJr.を陣営に引き入れた。父親の信頼は厚いが、人を見る目は...ない>

米大統領選に無所属で出馬したロバート・ケネディJr.が選挙戦から撤退し、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領を支持すると表明した。

民主党にはこの動きを警戒すべき理由がある。独立系選挙分析サイトのクック・ポリティカル・レポートの調査によると、ケネディJr.の支持者の約半分は第2の選択肢としてトランプを支持すると言い、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を支持する人は約4分の1にすぎなかった。


一方で民主党が強気になっていい理由もある。ケネディJr.を説得し自陣営に引き込んだのはドナルド・トランプJr.と伝えられているからだ。

トランプの長男であるトランプJr.は父親の顧問を務め、共和党内で絶大な影響力を持つ。一方で共和党の選挙戦をかき回す厄介な存在でもある。

トランプJr.はソーシャルメディアで精力的に自論を発信し、右派のテレビ番組やネットラジオのポッドキャストにも盛んにゲスト出演している。その知名度の高さと人脈を生かし、メディアが注視する重要な選挙では自身が推す共和党候補を猛プッシュしてきた。

そのため彼を共和党の「キングメーカー」と呼ぶ人もいるが、その名がふさわしいかは大いに疑問だ。なぜなら彼が推す候補者は次々に敗北を喫してきたからだ。

共和党内にトランプJr.の影響力が浸透し始めたのは2022年の中間選挙からだ(それ以前に2020年の大統領選挙の結果を覆そうとするバカげた企てにも関与していたが)。

人を見る目はなさそう

2022年の中間選挙は民主党の現職大統領であるジョー・バイデンが不人気だったため、共和党は大躍進のチャンスだった。だが激戦州の知事選で次々に敗れ、連邦議会上院の多数派にもなれなかった。

一連の敗北は息子ではなく父親のトランプのせいだと言われる。確かにそうだが、息子の影響力も無視できない。トランプが陰謀論者と親交を結ぶときは必ずと言っていいほど息子が仲介している。トランプJr.は父親以上に熱心に陰謀論を信奉し、陰謀論者の集会で登壇することもある。

2022年にトランプJr.が推した共和党候補の1人がペンシルベニア州知事選に出馬した陰謀論者のダグ・マストリアーノ上院議員だ。共和党と民主党の勢力が拮抗する同州の知事選は常に接戦になるが、マストリアーノは大差で負けた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏当局、ディープシークに質問へ プライバシー保護巡

ビジネス

ECB総裁、チェコ中銀の「外貨準備にビットコイン」

ビジネス

米マスターカード、第4四半期利益が予想上回る 年末

ワールド

米首都近郊の旅客機と軍ヘリの空中衝突、空域運用の課
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 3
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 4
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中