最新記事
越境攻撃

越境攻撃に不意を突かれたプーチン、「俺は騙された」と激怒、犯人探しが始まった

Putin Seeking to Find Out 'How and Why He Was Deceived' over Kursk: ISW

2024年8月15日(木)18時22分
イザベル・バンブルーゲン

加えてプーチンは、クルスク州の情勢について正確な情報が伝えられなかったことで、配下の人間に「騙された」と感じており、その理由や経緯を探るためデュミンを監視役にしたと、軍事ブロガーらは指摘。デュミンの報告しだいで、何人かの政府高官と指揮官のクビが飛ぶともささやかれている。

ロシアの軍事ジャーナリスト、アレクサンドル・スラドコフは13日にメッセージアプリ・テレグラムへの投稿で、デュミンは「プーチンの懐刀」であり、「直接的にも間接的にも大統領を騙すような行為を決して許さないだろう」と警告した。

デュミンの起用をめぐり、さまざまな憶測が飛び交う一方で、ロシア軍のバレリー・ゲラシモフ参謀総長は非難の矢面に立たされている。

ロシア情報当局はウクライナ軍が同国北東部スームィ州の国境地帯に兵力を結集し、越境攻撃を準備していることを察知して、警告したにもかかわらず、ゲラシモフが対応を怠った、というのだ。

ニュースサイトのブルームバーグは8日、クレムリンに近い匿名情報筋の話として、クレムリン高官はゲラシモフの対応に不満を募らせていると伝えた。

先週、ウクライナ軍がクルスク州の集落を次々に掌握し、制圧地域を広げる中、テレグラムのロシア人チャンネルではゲラシモフの「無能ぶり」を非難する声が渦巻いた。

アメリカは関与せず

ウクライナ軍は越境攻撃開始から1週間足らずで、ロシア軍が今年初め以降に獲得したウクライナ領内の占領地域よりも広大な地域を支配下に置いたと伝えられている。

ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は自軍が作戦を展開するクルスク州内の地域は12日までに1000平方キロを超えたと発表した。

ジョー・バイデン米大統領は13日、ウクライナ軍の越境攻撃は、プーチンに「深刻なジレンマ」をもたらしたと述べた。「戦闘が続く今の状況で、私に言えるのはそれだけだ」

カリーヌ・ジャンピエール米大統領報道官は、アメリカはこの作戦に「全く関与していない」と記者団に語った。

「私たちは一切関わっていない。ウクライナ側とは彼らのアプローチについて引き続き話し合うが、質問があるなら、彼らに聞いてほしい」

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、民間インフラ攻撃停止提案検討の用意=大

ビジネス

ドイツ政府、今年の経済成長予測をゼロに下方修正=関

ワールド

ガソリン10円引き下げ、夏場に電気・ガス代補助 石

ワールド

イスラエル、ガザ攻撃強化 封鎖でポリオ予防接種停止
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボランティアが、職員たちにもたらした「学び」
  • 4
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 5
    遺物「青いコーラン」から未解明の文字を発見...ペー…
  • 6
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「…
  • 7
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 8
    「アメリカ湾」の次は...中国が激怒、Googleの「西フ…
  • 9
    なぜ? ケイティ・ペリーらの宇宙旅行に「でっち上…
  • 10
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中