SDGs進捗に警鐘...2030年目標達成は遠い夢?

SDGs達成まで残り6年。報告書が示す進捗と必要な行動 ©UN Photo
<2024年のSDGs報告書は、目標達成への進捗が依然として厳しい状況にあることを明らかにした>
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みが大きな壁に直面している。2024年の国連報告書は、現在の進捗状況が目標達成には程遠いことを明らかにし、急速な行動と投資が求められていると結論づけた。
国際協力と資金調達の必要性
報告書によると、SDGsの目標のうち達成に向けた進展が見られるのはわずか17%に過ぎない。半数近くが停滞しているか、わずかな進捗しか見られない状況だ。
新型コロナウイルス感染症の影響、紛争の激化、地政学的緊張、気候変動の悪化などが、進捗を大きく妨げている。2022年には極度の貧困に陥った人々が2300万人増加し、飢えに苦しむ人々は1億人を超えた。
さらに、2023年は観測史上最も暑い年となり、世界の気温上昇が1.5°Cの危険水準に近づいたことが報告されている。国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、「この報告書は、より強力でより効率的な国際協力によっていますぐに前進を最大化させることが、緊急に必要であることを強調しています」と訴えた。
「6年余りを残す中で、私たちは、貧困に終止符を打ち、地球を守り、誰一人取り残さない、という2030年の約束に対して手を緩めてはなりません」とグテーレス氏は続けた。資金調達の強化が急務であり、開発途上国へのSDG投資の不足額は年間4兆ドルに達している。
困難な問題にも解決策は存在
資金問題を解消するためには、国際金融システムの改革が不可欠だ。平和と安全の確保も急務であり、強制移住を余儀なくされた人々が1億2000万人に達し、民間人の死傷者が急増している現状がその必要性を強調している。そして紛争の解決には対話と外交が重要だ。食料、エネルギー、社会的保護、デジタル接続性などの分野での大規模な投資とパートナーシップが求められている。
報告書は、再生可能エネルギーの導入、女児の教育、インターネットアクセスの拡大などの成功事例も紹介している。特に、女児が学校教育を修了する割合が男児を上回った地域や、HIV/AIDS対策の進展が示すように、困難な問題でも解決の道はある。
9月に開催される「未来サミット」は、SDGs達成に向けた重要なステップとなる。このサミットでは、開発途上国の債務危機への対処や国際金融システムの改革が議論される予定だ。

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