「トランプ暗殺未遂事件」の動機は謎のまま...容疑者の素顔とは?
7月17日、米東部ペンシルベニア州バトラーで演説中のトランプ前大統領をライフル銃で狙撃したトーマス・クルックス容疑者は、20歳のコンピューター好きの内向的な青年で大学の工学部への入学を決めたばかりだった。 写真は高校の年次アルバムのクルックス容疑者。提供写真(2024年 ロイター/Aaron Josefczyk)
米東部ペンシルベニア州バトラーで演説中のトランプ前大統領をライフル銃で狙撃したトーマス・クルックス容疑者は、20歳のコンピューター好きの内向的な青年で大学の工学部への入学を決めたばかりだった。
暗殺未遂から4日が経ったが、容疑者の背後にある思想や引き金を引いた理由は謎のままだ。
米連邦捜査局(FBI)がクルックス容疑者の携帯電話を調べたところ、銃撃事件の数日前にバイデン大統領とトランプ氏、さらに他の著名人の画像を検索していたことが判明したと米紙ニューヨーク・タイムズ紙が17日報じた。
トランプ氏が公の場に出る日と民主党全国大会の予定を検索していたという。また「重度のうつ病」についても調べていた。
クルックス容疑者は2年制のアレゲニー郡のコミュニティーカレッジで工学を学び5月に卒業した。
同校のある講師は容疑者が提出した課題を見直してみたが、期待されている以上の努力をするまじめな学生で、暗殺未遂事件を犯したことに当惑したと明かした。宿題の回答は思慮深く、メールも丁寧だったと振り返った。障害者向けのおもちゃを再設計する課題で優秀な成績を収めたという。
同校で工学を専攻しクルックス容疑者と一緒に2つのオンライン授業を受けたというサミュエル・ストロットマン氏は、容疑者が講義中に一度も発言せずカメラもオフにしていたと指摘した。
同校のある職員は、クルックス容疑者は物静かだが感じが良く、機械工学のキャリアを目指すことに興味があるようだったと語った。狙撃事件を起こしたのは「本当に、本当に、本当に意外だった」と述べた。
容疑者はその後、近隣のロバート・モリス大学で工学の勉強を続ける予定だった。最近まで介護施設で食事補助の仕事をしており、「何の心配もなく仕事をこなしていた」(同施設)。
クルックス容疑者はピッツバーグ郊外の中流階級が住むベテルパークの質素な家に両親と姉と一緒に住んでいた。
高校の同級生によると、容疑者は目立たないようにしていたという。元同級生の一人は、歴史の授業で他の生徒がリベラル寄りの発言をする中、クルックス容疑者は保守的な意見を述べたとフィラデルフィア・インクワイアラー紙に語った。
高校の卒業アルバムには顔写真はなく、名前だけが記されていた。元同級生はロイターに、彼はゲームとコンピューターの組み立てが好きだったと語った。
クルックス容疑者が住んでいたベテルパークは人口約3万3000人で、2020年の大統領選ではトランプ氏が65票差で勝利した。
クルックス家ではトーマス容疑者は共和党に登録していたが、17歳の時に民主党の政治活動委員会(PAC)に15ドルを寄付している。両親はどちらもソーシャルワーカーで、父親はリバタリアン、母親は民主党の支持者だった。
22年に退職したスクールカウンセラーのジム・ナップ氏は、クルックス容疑者について、周りの助けを求めるような子どもではなかったため目に留まることはめったになかったと語った。時々昼食時に一人で座っていることがあり、誰かと一緒に座りたいか聞くと、一人で大丈夫と答えたという。
高校時代の元同級生マックス・リッチ氏は、クルックス容疑者は内気で、暴力事件を起こすようなタイプには見えなかったと語った。