最新記事
バイデン

「よく知った人なのに誰だかわからない」──NATO首脳は前からバイデンの知力低下を知っていた

Biden Didn't Recognize Someone He Knew 'Well,' NATO Summit Attendee Claims

2024年7月11日(木)18時19分
マンディ・タヘリ
NATO首脳会議とバイデン

みんな知っていた?── NATO創設75年の首脳会議の記念撮影で、バイデンに手招きするストルテンベルグ事務総長(7月10日、ワシントン) REUTERS/Yves Herman

<今や次の4年どころか大統領選までの4カ月も難しい状態と見る首脳もいて、各国首脳たちは一斉に「もしトラ」の再臨に身構えている>

7月9日にアメリカの首都ワシントンで開幕したNATO首脳会議。各国から集まった指導者たちは盛んに、ジョー・バイデン米大統領の再選は無理だろう、と懸念していた。NATO各国の首脳たちは、バイデンの認知機能が低下しているのを知っていた。会議で「よく知る相手」に会っても誰だかわからない時もあったという。

【動画】ジョージ・クルーニーも降りて、残る支持者はジル夫人だけ? こんなにあった老化の兆候

米調査会社ユーラシア・グループの代表を務める国際政治学者のイアン・ブレマー は9日、ニュース専門局MSNBCの番組に出演し、NATO加盟国の指導者たちから聞いた話を伝えた。

それによれば、首脳たちはバイデンが「あと4年職務を果たせる」とは考えていない。こうした見方は、イデオロギーに関係なく、右派から左派まであらゆる指導者に共通し、「彼らの間では以前からあった」懸念だと、ブレマーは語った。

その2週間近く前の6月27日、アメリカでは大統領選に向けた第1回テレビ討論会が行われ、共和党の指名を確実にしているドナルド・トランプ前大統領との論戦で、バイデンは世界に失態をさらした。ロイド・ドゲット下院議員を筆頭に、民主党内では81歳のバイデンは選挙戦から撤退し、別の指名候補を立てるべきだ、という声が上がっている。

悪名高いNATO嫌い

NATO創設75周年の節目に当たる今年の首脳会議はバイデンをホストに7月11日まで行われる。その舞台裏でバイデンの高齢不安説が渦巻いているのは皮肉な話だ。

「各国首脳はバイデンを嫌っているわけだはない」と、ブレマー は語った。「それどころか、とても心配しているのだ......もしもトランプが大統領選に勝ったらどうなるのかと」

ロシアのウクライナ侵攻やNATO、EUに関するトランプのこれまでの発言を考えれば、同盟国の首脳が不信感を募らせるのも当然だ。

トランプは7月15日から開催される共和党全国大会で、正式に大統領候補指名を受諾するとみられる。トランプとバイデンの支持率は伯仲しているが、世論調査分析サイトのファイブサーティーエイトによると、7月10日時点ではトランプが2.3ポイント差でわずかにリードしている。

トランプは以前からNATOが嫌いだったが、今年2月の選挙集会での発言はとりわけ衝撃的だった。トランプは自分が大統領になったら、軍事費を出し惜しみする同盟国にロシアが攻め入っても「アメリカは守らない」と断言したのだ。

そればかりか、「何でも好き勝手にやってくれと(ロシアを)けしかける」、とまで言った。ロシアのウクライナ侵攻が始まって2年近く経とうとする時期に、アメリカの次期大統領になるかもしれない人間がそんな発言をしたことに、同盟国は肝をつぶした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

年内2回利下げが依然妥当、インフレ動向で自信は低下

ワールド

米国防長官「抑止を再構築」、中谷防衛相と会談 防衛

ビジネス

アラスカ州知事、アジア歴訪成果を政権に説明へ 天然

ビジネス

米連邦地裁、マスク氏の棄却請求退ける ツイッター株
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 10
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中