G7の巨額債務が懸念材料に...次の火種はどこか?
(3)イタリア
投資家はイタリアのメローニ首相が市場に優しいと評価している。だが、昨年の財政赤字はGDP比7.4%とEU加盟国で最大だった。このため、同国もEUの是正措置に直面しており、今後、市場の楽観論が試されることになる。
イタリア国債は他の高債務国の国債をアウトパフォームしている。ただ、フランス国債が売られた6月には一時、利回りが4カ月ぶりの高水準に上昇。不安が急速に拡散するリスクを浮き彫りにした。
今年は財政赤字のGDP比を4.3%に引き下げる目標を掲げているが、このところ財政目標は未達に終わっている。
同国では20年以降、2000億ユーロ以上のコストがかかる住宅改修工事の奨励策が導入されており、今後何年も債務に増大圧力がかかる。欧州委員会は公的債務が現在のGDP比137%から34年には168%まで上昇すると予測している。
ユニオン・インベストメントの債券・為替責任者、クリスチャン・コプフ氏は「イタリアではリスクに見合ったリターンが得られない」と語った。
(4)英国
英国は22年に当時の保守党政権が財源の裏付けのない減税を発表し、国債とポンドが急落。市場への介入と政策の転換を迫られた。
先の総選挙で誕生した労働党政権は緊縮財政を維持しながら経済成長を促すという公約を掲げており、公的債務がGDP比100%近くに達する中、課題に直面している。
英予算責任局(OBR)は昨年、公的債務が2070年代までにGDP比で300%を突破する可能性があると分析。財政リスクとして高齢化、気候変動、地政学的緊張を挙げた。
S&Pグローバルは債務の安定では経済成長の拡大が鍵を握ると指摘している。
(5)日本
日本の公的債務はGDP比で200%を超えており、先進国中最大だが、足元で懸念は浮上していない。
国債の大部分は国内で保有されており、ストレスの初期兆候が表れたからと言って国内の投資家が資金を引き揚げる可能性は低い。外国人の保有比率は約6.5%に過ぎない。
フィッチ・レーティングスは、日本の物価・金利上昇について、インフレで債務負担が軽減されるため、信用力にプラスになる可能性があるとの認識を示した。
ただ、懸念要因は残る。
政府は向こう10年間で利払い費が膨らみ、33年度には24兆8000億円(24年度は9兆8300億円)になると試算している。
このため、金融政策の正常化で国債利回りが突然跳ね上がることがないかは注目に値する。
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