イランの核武装への兆候か? イスラエルとの初交戦と大統領墜落死が示すもの
IRAN EXAMINES THE NUCLEAR OPTION
イランが核保有を望んでいないのは確かだ、とタガビニアは語気を強めた。「だが自国の存続や安全保障を脅かす行為を許すわけにはいかないのだ......アメリカとイスラエルはイランに対する挑発と威嚇を控えるべきだ。そうすれば、イランは政策を変える必要がなくなる」
アメリカとイスラエルは、核政策の転換をにおわすイラン側の発言を受けて、一層厳しい警告を発するばかりだ。特にハメネイの顧問であるハラジの発言には、米国務省のマシュー・ミラー報道官が5月の記者会見で「無責任」だと非難を浴びせた。
バイデン政権はイランへの締め付けを強化すると誓い、軍事オプションも排除していないと、国務省の広報スタッフは本誌に語った。バイデンとアントニー・ブリンケン米国務長官は「イランの核保有を絶対に許さない」というのだ。
「前々から述べているように、持続可能かつ有効な解決に至る最善の方法は外交だと、われわれは考えているが、手元には全ての選択肢を残しておく」と、このスタッフは言う。「(バイデン)政権は対イラン制裁を1つも解除していない。圧力を強化し続け、引き続き広範な制裁を科し、われわれは違反を厳しく取り締まっている」
ライシの「事故死」を怪しむ声
とはいえ、米当局もIAEAと同様、「今のところイランは実験可能な核装置の製造に不可欠な工程には着手していないと評価し続けている」と、このスタッフは明かした。
イスラエルは長年、イランの核保有の可能性に対してアメリカ以上に厳しい警告を発してきた。ネタニヤフはガザ戦争を始めて以来、イランの核の野望を打ち砕く差し迫った必要性があるとみて、何度もそれに言及してきた。イランはイスラエル軍と戦うイスラム組織ハマスと、イスラエル攻撃に加わったレバノン、イラク、シリア、イエメンの武装組織を大っぴらに支援している。
イスラエルはこれまでも長年、イランの核開発に関わる科学者らの暗殺や核施設を標的にした電波妨害といった攻撃を繰り返してきた。さらには81年6月にイラク、07年9月にはシリアの核施設を空爆。地域の敵対的な国々の核保有を許さないかのような傲慢さを見せつけてきた(本誌はイスラエル首相府にコメントを求めている)。