最新記事
ウクライナ戦争

ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による攻撃で大破か...衝撃映像が拡散

Video shows apparent aftermath of strike on Russian Black Sea Fleet ship

2024年4月26日(金)17時10分
エリー・クック
潜水艦救難艦「コムーナ」 @DefenceU-X

潜水艦救難艦「コムーナ」 @DefenceU-X

<潜水艦救難艦「コムーナ」らしき停泊中の艦船が炎と煙に包まれている様子を捉えた動画が拡散される>

ウクライナ軍が週末にロシア黒海艦隊最古の艦艇を攻撃した後の様子を捉えたとみられる動画が、ソーシャルメディア上で拡散されている。

【動画】ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による攻撃で大破か...衝撃映像が拡散

短い動画には、停泊中の艦艇らしきものが炎と煙に包まれている様子が映っている。本誌はこの動画の信ぴょう性について独自に確認を取ることができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めたが返答はなかった。ウクライナ国防省は4月21日、ウクライナ海軍がロシアの潜水艦救難艦「コムーナ」を攻撃したと発表したが、同艦艇の被害の度合いについては明らかにされなかった。

ウクライナ軍はこれまでも頻繁にロシア黒海艦隊、とりわけクリミア半島の南西端にあるセバストポリ港に停泊中の艦船を標的にしてきた。ロシアは2014年にクリミア半島を一方的に併合しており、ウクライナは同地域の奪還を目指している。

ウクライナ海軍のドミトロー・プレテンチューク報道官は21日、本誌に対して「ロシアが一時的に占領しているクリミアでは、今後も軍事施設での爆発が続くだろう」と述べた。ウクライナ軍が「コムーナ」攻撃にどの兵器を使用したのかは明かさなかった。複数のオープンソースアカウントは、ウクライナの国産対艦巡航ミサイル「ネプチューン」が使用された可能性があるとしている。プレテンチュークは21日にソーシャルメディアに行った投稿の中で、「コムーナ」はもう運用不能だと述べた。

ロシアは主要な艦船を東に移動させて防衛を強化

セバストポリのミハイル・ラズボザエフ市長は21日、ロシア軍が同日セバストポリ北部で「対艦ミサイルによる攻撃を撃退」したと述べ、「その際に破片が落下して小規模な火災が起きたが、すぐに消し止められた」とつけ加えた。

ウクライナ軍がロシア軍との戦いを展開するなかで、最も成果を上げている攻撃の一部が水上ドローンや各種ミサイルによる攻撃だ。ウクライナ当局は、ロシアは戦闘開始以来、黒海艦隊の約3分の1を失ったと推定している。

開始から2年以上になる今回の戦争で、ウクライナ軍は2022年4月にロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を撃沈して以降も、ロシア軍の艦船を狙った攻撃を続けている。プレテンチュークは21日にウクライナのメディアRBCに対して、「コムーナ」は「モスクワ」が撃沈された際に派遣され、同艦の一部の回収を行ったと述べた。

ウクライナ軍は2024年に入って以降、ロシア黒海艦隊の艦船を標的とした攻撃を多数実行。揚陸艦や偵察艦、コルベット艦や哨戒艦に対する攻撃を行ってきた。

クリミア半島に駐留する黒海艦隊への執拗な攻撃を受けて、主要な艦船の多くをセバストポリからさらに東に移動させている。また英国防省は以前に、ロシア軍がウクライナ軍のドローンをかわすためにデコイ(おとり)を使用したり、地面に艦船のシルエットを描いたりする偽装工作を行っていると指摘していた。

ロシア国防省は3月、敵のドローンを破壊するために黒海艦隊に重機関銃の装備を追加する計画を発表している。

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中