不人気すぎる韓国・尹錫悦大統領の自滅...国民の力が大敗した7つの理由
An Anti-Yoon Vote
■大統領の過剰警護
今年1月に行われた式典で、野党・進歩党の姜聖熙(カン・ソンヒ)議員は会場を埋め尽くした政界関係者と同様、尹と握手を交わし何かを訴えた。数秒後、彼は大統領の警護員らに手で口を塞がれ、数人がかりで担ぎ出されるようにして、有無を言わさず会場から引きずり出された。
これについて大統領室はルールにのっとった対応だと主張したが、国内のニュースサイトで公開された動画を見る限り、姜はただ尹に話しかけただけだ。危険を及ぼすような行為や式典を妨害するような行為はしていない。
国立の工科大学・韓国科学技術院(KAIST)で2月に行われた卒業式でも、尹が祝賀スピーチを行っている最中に大声を上げた学生が大統領警護隊に無理やり引きずり出される騒ぎが起きた。
警護員らは式服を着用し、卒業生の列に紛れ込んでいた。そして学生が叫ぶと、即座に飛び付いて身柄を確保した。
こうした騒ぎは尹のイメージを悪化させるだけだ。反対意見に耳を貸さず、力ずくで批判を抑え込む強権的な指導者とみられても仕方がない。特に言論の自由を重視するリベラル派は大統領の過剰な警護に強く反発している。
■離党者の当選
リベラル派の共に民主党が有権者の圧倒的な支持を得るなか、与党・国民の力の幹部らをさらに悔しがらせる大逆転劇が起きた。国民の力の党首の座を追われ、離党した李俊鍚(イ・ジュンソク)は、22年の選挙で大統領候補の尹の陣営と地元の国会議員候補の陣営を率いた人物だ。その李が新党を結成し、今回の選挙では首都ソウル南西の華城市の選挙区から出馬。大方の予想を裏切って当選を果たしたのだ。
投票日までの数週間、李は支持率で共に民主党の対抗馬の後塵を拝していた。だがフタを開けてみれば、得票率3.38ポイント差で議席を獲得。勝利演説で李は尹に呼びかけた。私がなぜ国民の力を離党し、新党を結成して選挙に出なければならなかったか、胸に手を当てて考えてみろ、と。
李に言わせれば、尹は党の若き指導者だった自分を蹴落として党首の座に居座った憎き敵だ。李が離党後に結成した「改革新党」は今回の選挙で3議席を獲得できた。
韓国では今回の選挙で与党が惨敗したのは、大統領の不人気のせいだとみる向きが多い。離党した李が勝利したことで、尹がいなければ、与党候補はもっと票を伸ばせたとの声がますます高まりそうだ。27年3月の次期大統領選をにらんで、与党内の主流派はもはや「外様」の尹に遠慮せず、勢力拡大を目指すだろう。