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ドナルド・トランプの大統領選、「最大の敵」は連邦最高裁...「自分だけは特別」の主張は認められるか

Trump v. Supreme Court

2024年2月16日(金)16時02分
リチャード・ヘイセン(カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授〔法学〕)

連邦最高裁の権威が問われている

連邦控裁は、トランプの主張は「元大統領が、その行政責任の範囲外とみられる行為についても刑事責任を免れるとする」前例のない主張だと指摘。その上で、「トランプ前大統領が20年大統領選に敗北したにもかかわらず、権力の座にとどまろうとする試みは、それが事実と立証されれば、アメリカの政府の仕組みを打ち砕く前例のない行為だ」と厳しい見解を示した。

連邦最高裁は、数週間以内に2件の両方またはどちらかに判決を下すとみられている。もし、コロラド州最高裁の判決に同意してトランプには再び公職に就く資格がないと判断すれば、トランプの共和党指名候補争いは終わる。

だが、たとえトランプは依然として公職に就く資格があると判断された場合でも、ワシントンの刑事事件の上告審で、大統領としての行為も刑事責任を問われ得るとの判断が下されれば、トランプには難しい道のりが待っている。

この判断を受け、ワシントン連邦地裁で公判が再開すれば、トランプが有罪判決を受ける可能性は十分ある。7月の共和党大会の前に判決が下れば、党大会で代議員が別の候補を指名するかもしれない。

しかしこうした影響はどうあれ、連邦最高裁が自らの権威と、近年の信頼低下を気にかけるなら、トランプの「自分は例外」という主張を認めるべきではないだろう。

©2024 The Slate Group

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