「人質斬首」イスラム国はまだ終わっていない
The Never-Ending Story
「元イスラム国」の自国民を帰国させない国
イラク政府は21年頃から、アルホルキャンプにいる女性や子供を、過激性の低い人から順にイラクに帰還させる取り組みに力を入れている。
一方で、欧米諸国は自国民のIS関係者の帰国を長年拒否してきた。
イラクやシリアの刑務所には、アメリカ、イギリス、フランスなど50カ国以上の国籍者がいる。欧米諸国は時に、中東の刑務所事情について、人権の観点から批判をする。しかしイラク国内からは、欧米が問題を全てイラクやシリアに押し付けていると批判の声が上がっている。地元政府やNGOも問題に取り組んではいるものの、資金・経験不足などさまざまな要因で難航している。
シリアではIS残存勢力による刑務所やアルホルキャンプへの襲撃事件が絶えない。22年1月には北東部ハサカの刑務所襲撃で500人が死亡し、脱走者も出ている。今年1月末には、クルド軍らによるアルホルでの掃討作戦が行われた。
現在、イラク・シリア情勢はISの最盛期と比べればよくなったように見えるかもしれない。しかし、問題は新たな形で続いている。ISが再拡大する可能性は、常にあるのだ。
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