「子どもは欲しいがワンオペはきつい」......非婚就業に傾く日本女性の理想と現実
家事・育児の「ワンオペ」が課されるとなると、仕事を継続にするにしてもフルタイムで働くことは難しくなり、稼ぎも目減りする。とくに高学歴の女性の場合は、それが顕著だ。大卒の有業者の年収中央値を年齢層別に計算し、線でつないだグラフにすると<図1>のようになる。
通常は年齢が上がるにつれて収入は多くなるものだが、既婚女性だけは20代後半をピークに減少していく。結婚・出産によるもの、いわゆる「マミートラック」に絡めとられているためであるのは明らかだ。未婚の男女では差はあまりない。異常なのは既婚の夫婦で、妻の収入が夫に吸い取られているかのようなグラフだ。
他国でも同じと思われるかもしれないが、以前に筆者が試算したところ、未婚よりも既婚・子持ちの女性の収入が多い国もある(「女性の収入面の『子育て罰』が特に大きい日本社会」本サイト、2023年5月10日掲載)。日本の状況を、致し方ないことと放置していい理由はどこにもない。
女性のライフコース展望の理想と予想に隔たりがあるのは、こうした不当な現実があるのを見越してのことだ。止まらない未婚化・少子化は、それに対する女性の異議申し立ての結果とも言える。
<資料:国立社会保障・人口問題研究所『第16回・出生動向基本調査』(2021年)、
総務省『就業構造基本調査』(2022年)>