韓国物価高騰、韓国内旅行より日本旅行の方が安い。日本人旅行者にも変化が...
韓国を旅行する日本人旅行者にも変化が。東大門に近い広蔵市場、日本人旅行者が増えている...... 撮影:佐々木和義
<韓国で物価が高騰している。相次ぐ値上げで消費者が日本から個人輸入する例が増え、一方、明洞地区のホテルが高騰し、日本人旅行者も相対的に安価な東大門エリアのホテルを選ぶ人が多くなっている......>
韓国統計庁によると11月の韓国の物価は前年比3.3%上昇、8月から4か月連続で3%台の上昇率を記録した。政府が物価高騰を監視する中、ソウル市が公共交通運賃を値上げした。
市は8月、バスの初乗り運賃を1200ウォンから1500ウォンに値上げし、10月には1250ウォンだった地下鉄の初乗り運賃を1400ウォンに値上げした。バスは25%、地下鉄は12.2%の値上げである。
韓国の今年の物価上昇率は1.5%前後と目されている。最低賃金は5%上昇、平均賃金も平均4%台上昇したが、賃金上昇を上回る値上げが相次いでいる。10月の農産物価格は前月比13.5%上昇、外食費は21年と比べて13.05%上昇している。
求人サイトジョブコリアが21年4月に調査した会社員の平均昼食費6805ウォン(約700円)に対し、23年の推計費は平均7700ウォン(約792円)で、弁当持参者を除く外食者の推計昼食費は9100ウォン(約936円)となっている。
韓国消費者院の調査でもキムチチゲ定食は21年4月の6857ウォンから23年2月には7820ウォンに14%値上がりし、7932ウォンだったビビンバも9020ウォンに13.7%値上がりしている。
国内旅行費の高騰による海外旅行の人気上昇
国内旅行は高止まりといってよい。今年9月、ある韓国人が友人とゴルフ旅行を計画した。済州島のゴルフパッケージツアーは1人112万ウォンで、日本行きゴルフパッケージは76万ウォンだった。グループは日本行きを選択した。
国内旅行費の高騰で海外に出る韓国人が増えている。10月の訪日韓国人の推計値は63万1100人と10月として過去最高を記録した。韓国の空港を10月に利用した出発と到着を合わせた国際線旅客数はコロナ禍前の19年10月の90%に相当する659万3千人で、日本路線は19年10月を81万人余り上回る186万人、ベトナム路線も19年10月の91%に相当する78万人が利用した。
一方、今年1月から7月に済州島を訪れた国内旅行者は前年同期と比べて6.9%少なかった。なかでも7月は14%の落ち込みだった。韓国人が購入できる免税店の売上が前年比27.5%減など、多くの小売店が大きく落ち込んだという。
ソウルの観光市場動向と日本人旅行者の行動変化
観光売上の減少はソウルも同様だ。明洞の近くで日本人旅行者に土産品を売ってきた店主は訪韓日本人が増えているという割に日本人客はほとんど来ないと話しており、明洞のカフェ店主も日本人旅行者をほとんど目にしないという。
コロナ禍前、明洞は日本人で溢れていた。ソウルを訪れる日本人旅行者の多くが明洞地域のホテルに宿泊し、明洞や隣接する南大門市場で雑貨や服を買い、ソウル駅前のスーパーで土産品を買っていた。
昨今、明洞ではほとんど日本語を耳にしない一方、東大門市場は日本語が飛び交っている。明洞地域のホテルがコロナ禍前の1.5倍から2倍に高騰。明洞を避けて比較的安価な東大門を選択する日本人が多いとみられる。