日本社会は「ワーキングプア」の人たちに支えられている
なお地域による違いもあるが、有業者に占めるワーキングプアの割合を見れば、おおよその実態は分かる。過去との対比をすることで、近年の特徴も把握できる。<図2>は、働く人の半分以上がワーキングプア(年収300万円未満)の県に色を付けたマップだ。
30年間にかけて、色付きの県が増えているのが分かる。働く人の貧困化が全国的に進んでいるのが一目瞭然だ。高齢の労働者が増えているためでもあるが、雇用の非正規化もあり、生産年齢層でも稼ぎは目減りしている。これでいて物価は上がり、税の重みも増しているのだからたまらない。若者にあっては奨学金返済の負担もあり、結婚・出産も「高嶺の花」となりつつある。
これから先、ますます少なくなる労働力人口で社会を支えることになるが、この人たちの過半数がワーキングプアというのは忍びない。薄給による生活苦に加え、いざという時や将来への保障にも乏しい不安にも苦しめられる。<図1>の赤色の土台は、いつ崩れるか分からない。
まずは、普通に働けば普通の暮らしができる社会、具体的には「1日8時間働けば、普通の暮らしができる社会」を実現させることからだ。
<資料:総務省『就業構造基本調査』、
総務省『人口推計』>