「怪しいタイミング」で2度もフィリピン船に衝突した中国船の「怪」...その強気な「火遊び」に黙っていられないのは誰か?
Contested Shoal Clash
この海域での両国の対立は、もちろん初めてではない。フィリピンはセカンド・トーマス礁を含めてスプラトリー諸島で9つの島や環礁を占有するが、中国はその全てについて、南シナ海に独自に引いた境界線「九段線」の内側に収めて領有権を主張している。
今年2月には、中国海警局の船がフィリピン船に軍用級のレーザー照射を行う事件が発生。8月には中国海警局の船が、やはりシエラマドレ号に向かっていたフィリピン海軍の契約補給船の進路を妨害し、放水銃を発射した。
10月4日にも、中国海警局の船などがフィリピン沿岸警備隊の護衛艦2隻を取り囲み、セカンド・トーマス礁への接近を妨害した。このときは中国海警局の船がフィリピン船から1メートル以内に接近し、衝突寸前までいったという。
中国はこの数カ月、南シナ海のほかの海域でもフィリピンへの圧力を強めている。
9月下旬に中国側は、フィリピンの漁師たちがルソン島の西に位置するスカボロー礁に入れないように、海上に障害物を設置。
10月に入ってからは、南沙諸島でフィリピンが実効支配する島のうち最も大きく戦略的に最も重要なパグアサ島の近くで、中国海軍の船がフィリピン海軍の輸送船のすぐ前を横切った。
このように中国が南シナ海で強硬姿勢を強めていたことからすれば、衝突事件が起きるのは時間の問題だった。異例だったのは中国側が22日、衝突の直後に声明を出したことだ。この中で中国海警局は、フィリピン船が再三の警告にもかかわらず「無許可で」中国の領海に「不法侵入」したと批判した。