ハマスの奇襲で「テロの時代」再び...テロ組織のリクルート活動が活発化
Terror on the Rise Globally
残忍なテロ攻撃は周到に準備されたとみられる(ガザ地区でハマスの集会に参加するパレスチナの戦闘員) AARAFAT BARBAKHーREUTERS
<ガザ戦争でのハマスの「活躍」が、ISやアルカイダ、タリバンを刺激して新たなテロ攻撃の連鎖を起こすリスク>
イスラム組織ハマスがイスラエルで残虐なテロ攻撃を行った10月7日以降、欧州各地で過激思想に染まった不満分子による無差別テロが相次ぎ、テロ組織のリクルート活動が活発化している兆候がある。ハマスの大胆な攻撃に触発されて、イスラム過激派や反ユダヤ主義者が新たな攻撃方法を探っている可能性があると、情報機関は警戒を強めている。
アルカイダやIS(イスラム国)、タリバン系列の組織は鳴りを潜めたように見せかけ、ひそかに影響力を広げて襲撃の規模と残虐性を競い合っている。どの組織もメディアの注目を集めようと攻撃能力の誇示に余念がない。
結局のところテロ組織は新兵を募り、資金と武器を入手し、頼りになる後ろ盾を得るために、残虐極まりない襲撃を実行して世界にその名をとどろかす必要があるのだ。
テロ対策などのために機密情報を共有する英語圏5カ国(米英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)の協力の枠組み「ファイブアイズ」の情報機関トップが10月中旬、米カリフォルニア州で会合を持った。会合後に5カ国代表は共同声明を発表、中東で進行中の危機の直接的な結果としてテロの脅威が増大していると警告した。
この会合を主催したFBIのクリス・レイ長官は報道番組『60ミニッツ』で、「中東の流動的で緊迫した情勢は何らかの形でアメリカにも波及する恐れがある」と警鐘を鳴らした。「間違えてはいけない。今は危険な時代なのだ」
実際、ヨーロッパではイスラム過激派絡みの襲撃が相次いでいる。10月16日にはベルギーの首都ブリュッセルで行われたサッカーの試合中、市内でスウェーデン人のサポーター2人がテロリストに射殺される事件が起きた。チュニジア人の男がネット上でISのメンバーを名乗り、スウェーデンでコーランが燃やされたことへの報復だと犯行声明を出した。この男は市内のカフェにいるところをベルギーの警察に見つかり射殺された。
イタリアではISの新兵募集を行っていた疑いで2人の男が警察に逮捕された。ベルリンではシナゴーグ(ユダヤ教会堂)に火炎瓶が投げ込まれ、フランスではチェチェン共和国出身の男が高校教師を刺殺し、アラビア語で「神は偉大なり」と叫ぶ事件が発生。フランスではほかにも同様の事件が起き、当局がテロ警戒を最高レベルに引き上げた。