ガザ退避のパレスチナ人が詰めかけるラファ検問所とは何か? 閉鎖が続く理由は?
パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの間にあるラファ検問所は、イスラエル国外から直接ガザに入る唯一の援助ルートであり、イスラエル領内につながらない唯一の脱出口でもある。写真は同日、ラファの検問所で、エジプトへ出国しようと検問所の再開を待つ二重国籍を持つパレスチナ人(2023年 ロイター/Ibraheem Abu Mustafa)
パレスチナ自治区ガザ南部とエジプトの間にあるラファ検問所は、イスラエル国外から直接ガザに入る唯一の援助ルートであり、イスラエル領内につながらない唯一の脱出口でもある。
イスラエルがガザ市とガザ地区北部の住民に退避するよう警告した後、何十万人ものパレスチナ人がガザ南部に移動。イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの衝突が続く中、ラファの状況にも大きな注目が集まっている。
ラファ検問所の場所と管理国
ラファ検問所はガザ地区の南に位置する。ガザはイスラエルとエジプト、地中海に挟まれた狭い土地で、230万人が住んでいる。
検問所を管理するのはエジプトだ。
ラファが今回の紛争で重要な理由
ハマスによる7日の攻撃によりイスラエル国民1300人以上が死亡したのを受け、イスラエルはガザを「完全封鎖」し、同地域への電力を遮断し、食料と燃料の供給をすべて停止した。
この結果、人道支援物資がガザに入る唯一のルートは、エジプトのシナイ地域からラファを経由する道となった。ラファはまた、退避を試みるガザ住民にとって唯一の出口でもある。
外国パスポートの所持者は、ラファ検問所再開の協定が結ばれれば出国が許可される見通しであるため、ここ数日ラファ付近に向かっている。
イスラエルはまた、砲撃から身を守るためにラファの近くまで南下するようガザ住民に呼びかけているが、住民は人口密度の高い自治区内に安全な場所はないと訴えている。
ラファ通過が制限されている理由
エジプトはシナイ北東部に位置するガザとの国境付近の治安悪化を警戒している。この一帯では2013年以降、イスラム主義者の反乱が頂点に達したが、現在はほぼ鎮圧されている。
07年にハマスがガザを掌握して以来、エジプトはガザの封鎖を後押しし、人と物資の往来を大幅に制限してきた。イスラエルとの主要な検問所と同様、規制は緩和されることはあっても解除されることはなく、旅行者が通過するにはセキュリティー上の手続きと長時間のチェックを受ける必要がある。
08年にはハマスが国境施設に穴を開け、数万人のパレスチナ人がシナイに渡ったため、エジプトは石とセメントの壁を建設した。
エジプトは過去の紛争時や情勢が不安定な時期に、イスラエルとパレスチナの仲介役を務めてきた。しかし、そのような状況でも国境は封鎖し、援助物資の入国や医療上の理由で退避する人々の出国は許可しつつも、大規模な人の移動は阻止した。
ハマスの攻撃を受け、イスラエルはガザに最大級で容赦ない砲撃を行っているが、エジプトは今のところ従来の姿勢を変える気配を見せていない。イスラエルによる空爆では2800人以上のパレスチナ人が死亡している。