ガザ退避のパレスチナ人が詰めかけるラファ検問所とは何か? 閉鎖が続く理由は?
国境開放に向けた努力
国連はイスラエルに対し、ガザにおける「人道的大惨事」を回避するよう求め、食料、燃料、飲料水の供給さえも危険なほど不足していると警告している。
病院では、予備発電機の燃料が不足し、負傷者への対応に苦慮しているという。
エジプトの援助トラックは17日、検問所に近づいたが、いつガザに入れるのか、また入れるのか否かは不明だ。
ブリンケン米国務長官は同日、米国とイスラエルは、ハマスを利することなくガザ市民に人道支援を届ける計画を策定することで合意したと述べた。
アラブ諸国がパレスチナ人受け入れに消極的な理由
アラブ諸国は、今回のイスラエルとハマスの戦争が、パレスチナ人が自治区から恒久的に移住する新たな動きにつながる可能性を深く恐れている。
ガザと国境を接する唯一のアラブ国家であるエジプトと、イスラエル占領下のヨルダン川西岸に隣接するヨルダンは、パレスチナ人が土地を追われてはならないと警告を発している。
エジプトのシシ大統領は、パレスチナ人が「自分たちの土地に今後も定着できる」ことが不可欠だと述べ、ヨルダンのアブドラ国王は「パレスチナ人を全てのパレスチナ自治区から強制的に追い出したり、国内移住を引き起こしたりするいかなる試みにも反対する」とくぎを刺した。
アラブ人やパレスチナ人にとって、自らの国家を築きたい地域から立ち退く、あるいは追い出されることは、イスラエルの建国に伴う1948年の戦争で多くのパレスチナ人が家を追われ、あるいは逃亡した「ナクバ(大惨事)」を想起させる。
イスラエルは、建国後アラブ5カ国から攻撃を受けたとして、パレスチナ人を追い出したという主張に異議を唱えている。
イギリス統治時代にパレスチナにいたアラブ系住民の半数に当たる約70万人が土地を奪われ、多くは近隣アラブ諸国に移った。こうした人々とその子孫の多くは今もそこに住み続けており、難民キャンプに住む人も多い。
このため、今回の紛争がエスカレートしても、イスラエルが38年間の占領を経て2005年に撤退したガザを離れたくないとうパレスチナ人は多い。