福島原発と韓国の反応......日本製品の人気は不動のまま?
再び日本ビールが人気となった韓国のデパート...... 写真は2022年11月(撮影:佐々木和義)
<福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出問題に対して、韓国の一部市民団体が日本製品の不買運動を提唱している。しかし、日本のビールや車、ファッション、書籍などは依然として韓国市場で根強い人気を保っている......>
東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出に反対する韓国の4つの市民団体が9月18日、日本製品不買運動を提唱した。日本に行かない、日本製ビールを飲まない、日本産水産物を食べないという3つの運動だ。
韓国における日本産魚介類の輸入量は、今年1月から3月は前年より多かったが、3月以降、前年同月と比べてマイナスが続いており、なかでも1回目の海洋放出がはじまった8月の輸入量は24.9%、輸入額は34.8%のマイナスだった。
日本ビールの輸入増加
一方、日本ビールの輸入は大幅に伸びている。今年1月から8月の日本産ビール輸入量は3万6573トンで輸入量全体の21.9%を占め、5年ぶり、国別1位に返り咲いた。
2018年の日本ビールの輸入量は8万6676トンで、全輸入量の24.2%を占めていたが、翌19年は後半からはじまった日本製品不買運動の影響により4万7331トンまで激減。ベルギーと中国に続く3位となり、20年には10位まで後退した。選択的不買運動が広がった21年から上昇に転じて22年、3位に浮上した。
アサヒビールの人気
一番人気はアサヒである。アサヒビールの今年7月の小売店売上は277億6000万ウォン(約30億円)で、OBビールの「カス」、ハイト眞露の「テラ」に続く3位に浮上した。以下、ハイト眞露の「ケリー」、ハイト眞露の発泡酒「フィルライト」、中国の青島ビールが続いている。7月に正式販売を開始した「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」が後押ししたとみられている。
韓国でアサヒビールを輸入するロッテアサヒ酒類は今年5月、「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」を数量限定で販売した。コンビニ大手のGS25は歴代最大物量となる50万本を発注したが、注文数の半分しか入荷しない店舗が店頭に並べずにカウンターの中に隠して売る例や30分で完売した店舗もみられた。
正式販売を開始した7月、「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」を買うため開店前から行列ができたスーパーもある。
日本製品の人気継続
日本人気はビールにとどまらない。日本酒は13.9%増の254トン、日本車の輸入台数は47.3%増の2322台で、輸入額は82%増の3934万ドル。コーヒー・茶類も52.2%増、ビデオゲームも9.6%増など、多くの品目が前年を上回った。
レクサスの1月〜5月の販売台数は対前年比11.9%増の5295台、トヨタ車は34.6%増の3012台だった。日本製品不買運動のターゲットにされたユニクロも韓国SPAファッションブランド売上げ1位に返り咲いている。