次々にアフリカ諸国から追い出されるフランス...見透かされる「搾取を続ける宗主国」のダブルスタンダード
French Era Ends in Africa
二重基準がまかり通る
安全保障政策に苦労している他のサヘル諸国と異なり、バズムの政策は「ある程度まではうまくいっていた」と、パウエルは指摘する。「だからこそ、アメリカとフランスはバズムに大きな信頼を寄せていたのだろう。しかし両国は、ニジェールでの長年にわたる民間と軍の複雑な軋轢、バズムが長い間行ってきた反対派への弾圧、彼が選挙で物議を醸したことなどを無視した。強固なパートナーになるには、基盤が不安定すぎる」
いまバズムは自宅軟禁されているため、アメリカはニジェールの民主主義の回復を求めながらも、軍政との関係構築を模索している。在欧・在アフリカ米空軍のジェームズ・ヘッカー司令官は先日、ニジェール軍政との交渉の結果、ドローンの使用を含むニジェールでの監視・情報収集任務の一部が再開されたことを明らかにした。
米アフリカ軍(AFRICOM)の報道官は「ニジェールにおける米軍の長期的なプレゼンスについて、アメリカはまだ方針を決めていない」と本誌に語った。この報道官はニジェールで再開した任務の詳細については明かせないとしながら、「アメリカはニジェール軍とテロ対策活動は行っていない」と述べている。
一方のフランスでは、外務省報道官がオンライン声明で「アフリカのテロとの戦いを引き続き支援するが、民主的に選出された政権や地域当局の要請がある場合にのみ対応する」と語った。「ニジェールではクーデター後の約2カ月間に、イスラム主義テロによって、それ以前の18カ月間を上回る死者が出ている」
だがフランスのユネスコ大使や外務・人権担当閣外相を務めたラマ・ヤドは、フランス軍の駐留が明確な成果をもたらさなかったことが、反発を加速させた要因の1つだと指摘する。さらに彼女は、アフリカの民主主義に対するフランスの立場には「一貫性がない」とも語る。フランスの政府関係者らは、ニジェールに軍政が成立するとすぐに非難した。だが21年4月にチャドで、当時のイドリス・デビ大統領が反政府勢力への攻撃中に殺害されると、息子のマハマトが選挙を経ずに実権を握ったことについては、あまり批判的ではなかったという。
「人々は何が問題なのかが分かっている」と、ヤドは言う。「ダブルスタンダードがまかり通っており、下手をすれば壊滅的な影響をもたらす」