次々にアフリカ諸国から追い出されるフランス...見透かされる「搾取を続ける宗主国」のダブルスタンダード
French Era Ends in Africa
残る旧宗主国の悪影響
アフリカでの立場について言えば、フランスは一つの時代の終わりを迎えている。アメリカはフランスと協力してテロとの戦いを続ける一方で、「戦略面でフランスと差別化を図ることによって、現在の真空状態を埋めようとしている」と、ヤドは指摘する。
彼女によれば、フランスは事有るごとに「ニジェールのウランは必要ない」などと言い立て、フランスにとってニジェールの経済的な重要性は低いという印象を振りまいている。しかしアメリカや他の大国は、ニジェールの重要性をわきまえているという。
フランスの影響力低下を加速させたのは、確かにアフリカの政治と安全保障をめぐる問題だ。だが同時に、サヘル地域で「旧宗主国があまりに長く影響力を振るっている」というイメージをつくったのはフランスの経済的な動きだったと、ヤドは言う。
米デューク大学のンバイ・バシール・ロー准教授(国際比較研究)も、経済的要因がアフリカの反仏感情を助長してきたと指摘する。「フランスから経済的に搾取され続けてきたことの悪影響は、アフリカで人々の日常生活の隅々にまで及んでいる」
アフリカにおけるフランスの支配が正式に終わったのは、アルジェリアが独立した1962年。その2年前には、フランスの植民地だったアフリカの国々の大半が独立を果たした。だが旧フランス領の多くではユーロとの為替レートが固定されたCFAフランがいまだに採用され、フランスは民間部門も含めて支配的な影響力を振るい続けている。
「アフリカの旧植民地諸国では、フランスに搾取され続けてきた歴史が政治的危機を生む要因の1つになっている」と、ローは言う。「フランスとの現行の協定に既得権益を持つアフリカの政治エリートは、危機への対処能力がないか、対処したがらないかだ」。軍部がこうした問題を指摘すれば、すぐに国民の支持を集められると、ローは指摘する。
さらにローは、アメリカが「従来の意味での植民地化や搾取をアフリカ大陸で行っていない」ことを大きなポイントとして取り上げる。この点は、一部のアフリカ諸国の要求が仏軍基地の撤収に向けられ、米軍基地には向けられない理由の1つだという。
同様の論理は、中国とロシアがアフリカで存在感を強めていることにも当てはまる。両国はアフリカと数十年前から外交関係を築き、解放の広範なプロセスの助力にもなった。「ここで押さえておくべきなのは、大国はそれぞれアフリカ大陸と独自に交流してきており、アフリカ側の受け止め方も相手国ごとに異なるという点だ」と、ローは言う。