最新記事
アフリカ

次々にアフリカ諸国から追い出されるフランス...見透かされる「搾取を続ける宗主国」のダブルスタンダード

French Era Ends in Africa

2023年10月4日(水)18時28分
トム・オコナー(外交問題担当)

反発が臨界点に達した

オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院のフォラシャデ・スーレ研究員も、地政学的な変化は「特にフランス語圏アフリカでのフランスの影響力の転換点」になっていると言う。「トルコや中国、イランのような新興の戦略的パートナーは、こうした地域で軍事的なプレゼンスを強めている」と、彼女は指摘する。「西側の大国はフランスを、アフリカにおける多国間協調の取り組みの先例と見なしてきた。だが今はフランスを手本とするのをやめ、サヘル地域やフランス語圏アフリカへの戦略で独自色を強めて、反仏感情が自国に及ぶのを回避しようとしている」

スーレはここで2つの教訓を指摘する。第1は、アフリカ側とパートナー国との安全保障面での利害が一致していないという印象をアフリカ諸国に与えてはならないということだ。「フランスの対アフリカ関係について言えば、アフリカ諸国よりフランスの国益になる部分のほうが大きいとみられていた」

スーレが指摘する第2の教訓は、アフリカの世論に可能な限り配慮することだ。アフリカの人々は常に、他国の軍や軍事基地が駐留していることに反発していると彼女は言う。「こうしたパートナーシップについて、大国とアフリカのパートナーの間に十分な意思疎通がなければ、利害の相違やアフリカ側からの反発につながりやすい」

アリカーナ・チホンボリクアオはアフリカ連合(AU)の常駐代表として赴任したアメリカで、アフリカの反発の高まりを感じていた。そこで彼女はアフリカの外で、特にアフリカをルーツに持つ移民にこの問題への意識を高めてもらおうと活動してきた。

「いま起きている現象は、アフリカでのフランスによる搾取の実態を知る人々の反発が臨界点に達したということ」と、チホンボリクアオは指摘する。ニジェールのクーデターは、いくつもの国で起きている「アフリカ革命」の最新の事例だと、彼女は言う。

アメリカについてチホンボリクアオは、ニジェール軍政へのここ最近の対応に見られるような姿勢の変化を評価する。だがアフリカ諸国との永続的なパートナーシップを実現するには、従来のアプローチを根本から見直す必要があると主張する。

「アフリカの人々は『他の国々を相手にするときと同じく、私たちにも敬意を持って接してほしい』と言っているだけだ」と、チホンボリクアオは言う。「搾取を続けるためにアフリカに来ても、うまくいくはずがない。『戦略を変えなければ、アフリカではやっていけない』というのが、彼らの言い分だ」

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:米相互関税に政治リスク、中間選挙へ共和党に逆

ビジネス

仏サービスPMI、3月改定47.9 7カ月連続の5

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、3月50.9に上方改定 3カ月

ビジネス

独3月サービスPMI改定値は50.9、4カ月連続で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中