次々にアフリカ諸国から追い出されるフランス...見透かされる「搾取を続ける宗主国」のダブルスタンダード
French Era Ends in Africa
駐留仏軍はニジェール国民の反発を招いた(首都ニアメーの仏空軍基地、2021年) AP/AFLO
<旧植民地に反仏感情が高まって駐留部隊の引き揚げが相次ぐ。大国の戦略は根本的な再検討を迫られている>
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、西アフリカのニジェールを支配する軍事政権の要求に従い、同国からフランスの大使を帰国させ、駐留部隊を撤収する決定を下した。これは、不安定な地域で影響力を高めようとしているアメリカの戦略への警告になるかもしれない。
ニジェールでは7月、大統領警護隊兵士らがクーデターを起こしてモハメド・バズム大統領を追放し、祖国防衛国民評議会(CNSP)を樹立。さらにフランスのシルバン・イッテ駐ニジェール大使を、国の秩序に脅威をもたらす旧宗主国の使節と非難して国外退去を要求した。マクロンはこのとき、軍政の要求を拒否する姿勢を取った。
だが軍政がイッテの外交特権を剝奪して数週間が過ぎた9月24日にマクロンは、大使は間もなくニジェールを離れ、約1500人の駐留部隊も年内に撤収すると発表した。
今回の撤収は、フランスがアフリカで見せた新しい動きというわけではない。既にフランスは、ブルキナファソや中央アフリカ共和国、マリなどから相次いで手を引いている。背景にあるのは、一部のアフリカ諸国で反フランス感情が高まっていることだ。
一方のアメリカはニジェールに約1100人の部隊の駐留を続け、アフリカで米軍のプレゼンスを高めようとしている。だが英コンサルティング会社オックスフォード・アナリティカのナサニエル・パウエルは、米政府はフランスの撤収の決断に留意すべきだと警告する。
「サヘル地域(西アフリカのブルキナファソ、マリ、ニジェールなどを含む地域)でのフランスの失敗が特にアメリカにもたらすメッセージは、腐敗した非合法な政権を頼りに安全保障政策を成功させようとしても大きなリスクを伴うということだ」と、パウエルは言う。「そうした政権が倒れると、支援していた国は腐敗政権に加担したと見なされ、影響力を失いかねない」
ブルキナファソとマリからのフランスの撤収も、軍事クーデターの後だった。8月30日にクーデターが勃発した中部アフリカのガボンでも、フランス軍の駐留継続が問題になっている。
ニジェールのクーデターは、とりわけ影響が大きいかもしれない。バズムが追放される前、ニジェールはアルカイダやイスラム国(IS)の関連組織を含む過激派が活動するサヘル地域で、フランスとアメリカのテロ対策活動の拠点となっていた。