今や東京の30代子育て世帯の4割が年収1000万円以上
以上は全国のデータだが、大都市の東京に限ると変化はより大きい。<図1>は、東京都の子育て世帯の年収分布をグラフにしたものだ。世帯数が大きく異なる全国と比較するため、全数を100とした%の形にしている。
東京といえども、15年前は中間層が多かったが、今では年収1000万以上が最も多く4割を占めている。「東京で共稼ぎなら年収1000万円は普通では」という声もあるかもしれないが、15年間でここまで変わるとは驚きだ。
現在の東京の子育て世帯(親30代)では、年収600万未満は2割にも満たない。中間的な収入では、結婚や出産が難しくなりつつあるのか。上述の言葉を繰り返すが、結婚・出産の階層的閉鎖性の強まりだ。子育て世帯で最も多いのは、年収1000万以上。こういう時代が来ることを、20年前に予期できただろうか。
結婚・出産の経済的ハードルが上がり、もはや自然なライフイベントではなくなりつつある。少子化が進むわけだ。教育費の上昇、増税、奨学金の返済......。今の親世代には、以前にはなかった負担がのしかかるようになっている。「共稼ぎをしてしのげばいい」と突き放すのは簡単だ。国としては「政策の貧困」を自覚し、これから家庭を持とうとする世代の負担軽減に取り組むべきだ。
<資料:総務省『就業構造基本調査』>