「男性はカネがなければ結婚できない」日本の時代錯誤のジェンダー観で少子化はさらに進む
既婚者と未婚者の収入差はどの国でもあるが…… marchmeena29/iStock.
<欧米・韓国など主要7カ国で比較すると、日本は既婚者と未婚者の収入差が最も大きい>
今年の上半期の出生数は37万1052人、年間だと75万人を割るのは確実だ。ここ数年、出生数は毎年2~3万人減っており、2030年には50万人を割ってしまうのではないかと言われている。少子化の勢いはすさまじい。
あまり知られていないが、出産年齢の既婚女性あたりの出生数は変わっていない。少子化には、若者の未婚化傾向が寄与している。昨今の経済事情を考えると、若者が結婚に踏み切りにくくなっていることは容易に理解できる。
結婚をするには、ある程度の経済力を持っていることが求められる。とくに男性はそうだ。その度合いは、未婚男性と既婚男性の収入の差(ズレ)を見てみると分かる。差があるのはどの国でも同じだが、主要先進国と比べて日本はどうか。ISSP(国際社会調査プログラム)が2019年に実施した調査データをもとに、日本の男性の未婚男性と既婚男性の年収を対比すると<表1>のようになる。
サンプルがやや少ないものの、2つのグループでは年収の分布が違っているのが分かる。年収300万円未満の割合は未婚者では51%だが、既婚者では14%。対して年収600万以上は未婚者で7%であるのに対し、既婚者では40%もいる。大きな差だ。
未婚者と既婚者の年収分布のズレがどれほど大きいかは、右欄の累積相対度数をグラフにすることで可視化される。横軸に未婚者、縦軸に既婚者をとった座標上に、14の階層のドットを配置し線でつないだものだ(ローレンツ曲線)。グラフの提示は省くが、曲線の底は深い。