ウクライナ、南東部ザポリジエ州の要衝ロボティネ奪還 反攻で南部戦線打開か
ウクライナ軍は戦略的に重要な南東部の集落ロボティネを解放したと発表した。写真は25日、ロボティネに入るウクライナ軍。同軍提供の動画より(2023年 ロイター)
ウクライナ軍は28日、戦略的に重要な南東部ザポロジエ州ロボティネを解放したと発表した。6月に開始した反転攻勢でロシア軍をさらに南に押し戻すとしている。
ウクライナ軍によると、マリャル国防次官も「ロボティネは解放された」と表明した。
ウクライナ軍は先週、ロボティネにウクライナ国旗を掲げたが、掃討作戦はまだ継続していると表明。現地の同軍司令官は先週、ロイターに対し、南部で最も厳しいロシアの防衛線を突破したとみられるとし、今後、進軍のペースが速まると述べていた。
ロボティネはザポロジエ州の前線の町オリヒウの南10キロメートルに位置し、ロシアが占領する要衝トクマクに向かう重要な道路沿いにある。ウクライナ軍はアゾフ海に向けて南下しており、トクマクを制圧すれば反転攻勢で大きな節目となる。
マリャル次官は国内テレビに対し、ウクライナ軍は現在、ロボティネ南東のほか、同じくザポロジエ州のマラトクマチカの南方を移動していると明らかにしたほか、東部ドネツク州バフムト南方でも前進を続けていると表明。過去1週間でウクライナ軍はバフムト周辺で約1平方キロメートルの領土を奪還し、ロシア軍はこの地域で前進していないと明らかにした。
同時に、ロシア軍は東部で新たな部隊再編を行っているとの見方も示した。
ロシア国防省は声明で、ロシアはロボティネとベルボベ付近でウクライナ軍の攻撃を撃退したと表明。ロシアはウクライナによるロボティネの奪還を確認していない。
ゼレンスキー大統領は恒例のビデオ演説で、ウクライナ軍はロシア側の計画に「ロシア軍が予期せぬ方法」で確実に対応する策を用意していると表明。ただ、ロボティネについては言及しなかった。
ウクライナ軍の反転攻勢について、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は先週、米国や他の西側諸国の当局者の話として、ウクライナが誤った場所に多くの軍隊を過度に配置したため、攻勢の進展が限定されていると報じた。
これに関連してウクライナのレズニコフ国防相は28日の記者会見で、 ウクライナ軍のザルジニー総司令官は同盟国の高官と「組織的に」会談しているとし、軍事戦略を巡るウクライナと米国の見解の相違は「間違いであり、事実でない」と指摘。「全てが計画通りに進んでいる」と述べた。