誰も驚かない「いかにも」なプリゴジンの最期...だからこそ「ワグネル・ブランド」は今後もアウトローを魅了し続ける
Branding Wagner after Prigozhin
報復を示唆する? 宣言
6月の反乱が頓挫した後、プーチンが最初に行ったのは、多くの人が予想していた「プリゴジンの排除」ではなく、国外でのワグネルの任務は続くと保証して各国の独裁者の不安を和らげることだった。
プーチンはプリゴジンにも偽りの安心感を抱かせ、今後も変わらずに活動を続けられると信じ込ませた。7月にサンクトペテルブルクで開かれたロシア・アフリカ首脳会議では、アフリカ諸国の指導者と会談するプリゴジンの姿が確認されていた。
だがオーナーのプリゴジンと複数の幹部を排除した今、プーチンはワグネル・ブランドの再構築を考えているかもしれない。このブランドには今も一定の価値があるし、今ならプーチンがワグネルに対する支配権を取り戻し、好きなように操れるからだ。
創業者を失ったワグネルがブランドとして存続していくためには、今まで以上にプーチンに接近し、何であれプーチンの望む役割を果たすしかあるまい。プーチンはワグネルを政府の指揮命令系統に組み込もうとするだろう。ロシア軍の指導部を批判することなど、もちろん許されない。
いや、これで決まりではない。プリゴジン暗殺がプーチンの指示によるものなら、誰かが報復を試みてもおかしくない。現に、ワグネルの運営するテレグラム・チャンネル「グレーゾーン」にはこんな宣言が掲げられた。
「ワグネル・グループの総帥にしてロシアの英雄、真の愛国者であるエフゲニー・プリゴジンは、ロシアを裏切る者たちのせいで命を落とした」
先は読めないが、確かなことが1つだけある。誰が次なるブランドの顔になろうと、過剰な暴力とその拡散が終わることはない。