戦略爆撃機を破壊し、モスクワを恐怖に陥れるーウクライナドローン軍がロシア領内を激しく侵食しはじめた
Drone Strikes on Russian Airfields May Be Coming from Inside Russia: U.K.
ドローンの訓練をするウクライナ兵(8月17日、南部ザポリージャ) REUTERS/Viacheslav Ratynskyi
<ロシア国内の空軍基地がまた攻撃を受け、ツポレフ22M3戦略爆撃機が炎に包まれた。しかも、攻撃したウクライナのヘリコプター型攻撃ドローンはロシア国内から飛来しているようだ>
ウクライナ国境から数百キロメートル離れたロシアの主要空軍基地で、超音速爆撃機を標的にしたドローン攻撃がおこなわれたことが注目を集めている。この攻撃はロシア領内から仕掛けられた可能性があると、新たな検証で指摘されたからだ。
英国防省が8月22日に発表したところによれば、モスクワとサンクトペテルブルクのあいだ、ウクライナ北部にあるロシアとの国境から約650キロに位置するノブゴロド州のソルツイ2(Soltsy-2)空軍基地で、ロシアのTu-22M3(ツポレフ22M3)爆撃機が破壊された可能性が「きわめて高い」という。
ロシア政府は、モスクワ時間8月19日午前10時ごろ、ウクライナがヘリコプター型無人航空機(UAV)で空軍基地を攻撃したと述べ、航空機1機が損傷を受けたと付け加えた。
英国防省はX(旧ツイッター)への投稿のなかで、この攻撃をヘリコプター型無人航空機(UAV)がおこなったのであれば、「ロシア軍に対する一部のUAV攻撃は、ロシア領内を起点としているとする見方の信憑性が高まる」と述べている。
攻撃はロシア国内から?
英国防省によれば、ヘリコプター型UAVの航続距離では、ロシア国外からソルツイ2空軍基地に到達できない可能性が高いという。ニューズウィークは、ウクライナとロシア両国の国防省にコメントを求めている。
ヘリコプター型ドローンは、ウクライナが重点的に投資している幅広い技術の一つであり、現在では、ウクライナ政府の戦争遂行の取り組みに深く組み込まれている。
注目を集めたいくつかの攻撃では、ロシアが併合したクリミア半島とロシア本土を結ぶ主要な橋や、黒海に位置するロシア軍の海軍基地、ロシアの首都そのものが攻撃用ドローンの標的になっている。ロシア国防省は22日未明、モスクワ上空でウクライナのUAV2機を撃墜したほか、国境付近のブリャンスク州上空でさらにドローン2機を撃墜したと発表した。
ロシア国防省は週末、ノブゴロド州でロシアの複数の超音速爆撃機を攻撃したドローンを「小火器で撃墜した」と述べ、基地で発生した火災は消防隊が鎮火したと続けた。
だが、その後すぐに、少なくとも1機のTu-22M3爆撃機が完全に炎に包まれていることを示す画像が出まわりはじめた。ロシアはTu-22M3爆撃機を、戦争初期のころから使用している。2022年4月におこなわれた港湾都市マウリポリの包囲戦でも、無誘導爆弾の投下にTu-22M3爆撃機が用いられた。また、ウクライナは2023年8月、ソルツイ2空軍基地を拠点とするTu-22M3爆撃機が、ウクライナ領内にKh-22ミサイルを発射したと発表している。