集落奪還はゼレンスキーが待ちに待ったブレイクスルー、ウクライナは内部崩壊寸前だった

Ukraine Counteroffensive Achieves Breakthrough Zelensky Desperately Needed

2023年8月17日(木)20時08分
ブレンダン・コール

とはいえ、ウロジャイノエ村はこの地域のロシア軍の補給網で重要な位置を占めていたため、「ここを失うことで、ロシア軍はより広い範囲で防御に支障をきたすだろう」と、ゼレンスキーの元報道官ユリヤ・メンデルは、複数の軍事ブロガーを引用して、X(旧ツイッター)で述べている。

ニューヨーク・タイムズが先週伝えた予測によれば、ロシア軍はこの地域から撤退すれば、さらに南の第2防御線に当たるスタロムリニフカ村近辺に移動を余儀なくされる。そうなれば、ウクライナ軍はアゾフ海沿岸の都市ベルジャンシクとマリウポリまで約80キロまで迫ることになり、さらに南のアゾフ海に達することも可能になる。

その場合、ウロジャイノエ村の奪還は「ロシア軍の防御線を次々に打ち破る突破口となる」と、ファソラは言う。「ロシアの最前線と防御陣地の弱点を探るウクライナ軍の地ならし作戦が成功し、本格的に攻勢をかけるべき地点が分かった、ということだ」

「ウクライナ軍はロシア軍の防御の弱点を突いて、さらに南のマリウポリへと進み、ロシア軍がこの1年間に占領したウクライナ南東部を真っ二つに分断しようとするだろう」

マリウポリを奪還できれば、さらに南の内海である黒海に臨む拠点確保の可能性もみえてくる。だがたとえマリウポリに到達できないとしても、ウロジャイノエ奪還により、ウクライナ軍が西側の供与した弾薬と兵器で「ロシア軍の陣地のより奥深くまで攻撃できるようになることは確かだ」と、ファソラは言う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 10
    バカげた閣僚人事にも「トランプの賢さ」が見える...…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中