<マップ>ニジェール紛争が西アフリカ戦争につながりかねないことが一目でわかる
Africa Map Shows Which Ecowas Countries Could Invade Niger
安全保障およびインテリジェンスを専門分野とする企業、パンゲア・リスクのロバート・ベッセリング最高経営責任者(CEO)は8月7日、ニューズウィークの取材に対し、ECOWASはすでに軍事介入の計画を策定済みだと述べた。計画では、ECOWASは「ナイジェリア、そしておそらくはベナンやチャドなど近隣諸国の特殊部隊の緊急展開で構成し、すでにニジェールの首都ニアメーに配備されているフランス軍部隊の支援を受けるとみられる」という。
「しかしながら、介入はまだ差し迫ったものではなく、両陣営は今後数日、仲介交渉における自らの立場を強化するために、武力の行使も辞さないとの発言をエスカレートさせていくだろう」と、ベッセリングは付け加えた。
本誌もすでに伝えたように、非政府組織の「国際危機グループ(International Crisis Group、略称ICG)」の「サヘル・プロジェクト」で上級顧問を務めるイブラヒム・マイガは、「このクーデターを失敗に終わらせようとするECOWASの決意を過小評価すべきではない」と発言している。
ニジェールは、サハラ砂漠以南のサヘル地域における西側諸国とイスラム教民兵組織との戦いにおいて非常に重要な役割を演じているうえ、価値の高いウラン及び原油資源を有している。ニジェールが親仏路線から転換したことは、今回の政情不安に乗じてロシアが進出するのではないかとの懸念を引き起こしている。
8月第1週にニアメーで行われたクーデターを支持するデモの参加者はロシア国旗を掲げていた。またクーデター自体も、ロシアのワグネル・グループの指導者であるエフゲニー・プリゴジンから支援を得ていた。ワグネルは、6月にロシア正規軍の上層部に対して反乱を起こした民間軍事会社だ。
パンゲア・リスクのベッセリングは、ロシア政府や、同国の複数の民間軍事会社は、新たな軍事政権への関与を模索するだろうとしながらも、「(ロシアは)ニジェールで西側諸国と戦うつもりはない」との見解を示した。
だがロシアの関心は地政学的な支配というより、「鉱物資源の入手ルート確保という商業的なメリットや、不安定な国々に向けて安全保障サービスを実質的に輸出するという経済面でのメリットに向かっている」とベッセリングは指摘する。「ロシアには、数千人規模の部隊をサヘル地域に動員し、西側部隊に取って代わろうという意思はなく、ましてやその能力もない」
(翻訳:ガリレオ)