最新記事
アフリカ

<マップ>ニジェール紛争が西アフリカ戦争につながりかねないことが一目でわかる

Africa Map Shows Which Ecowas Countries Could Invade Niger

2023年8月8日(火)19時37分
ブレンダン・コール

ロシア国旗を掲げるニジェールのクーデター支持者(8月3日、首都ニアメー)  Mahamadou Hamidou -REUTERS

<ニジェールに軍事介入しそうな国はどこか>

ニジェールで起きている危機がエスカレートした場合、どれだけアフリカ全体に広範な影響を及ぼすおそれがあるかを示す地図が、8月7日に公開された。近隣諸国はニジェールのクーデター指導者に対し、権力の座を追われた前大統領を7日までに復権させるよう要求していたが、ちょうどその期限が過ぎたところだった。

<西アフリカ地勢図>

フランスの植民地だったニジェールの緊張は増すばかりだ。発端は、モハメド・バズム大統領が7月26日に失脚し、その後、大統領警護隊を率いるアブドゥラフマン・チアニ将軍が新たな国家元首になったと宣言したことだった。

西アフリカの15カ国で構成される西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS=エコワス)は7月末、クーデターを起こした暫定軍事政権に対して、バズム政権の復権を求め、現地時間8月7日午前0時という期限を設定していた。期限が守られなければ、力の行使も辞さないという宣言だった。

しかし、クーデター首謀者たちはこの期限を無視し、ニジェール領空を閉鎖した。この危機はアフリカ全体を巻き込む戦争を引き起こす可能性があるという懸念が広がる中で、ニジェール側は、ECOWASによる次の動きを待ち構えている状況だ。

そんな中、通常はウクライナでの紛争に関する最新情報を共有しているX(旧ツイッター)アカウント「ウォー・マッパー(War Mapper)」が解説図を公開した。ニジェールのクーデター首謀者を支持する勢力と反対する勢力を色分けした地図だ。この地図を見ると、当事国であるニジェールの西側には、クーデターを起こした軍事政権を支持するマリとブルキナファソがある。両国はどちらもフランスの元植民地で、近年になってクーデターを経験している。

両国は、ニジェールに連帯するという表明の一環として、ニジェールに対する攻撃は、自国に対する攻撃とみなすとの意向を表明している。近隣のギニアも、クーデター指導者を支持する側に立っている。

今回公開された地図では、これらの国々を取り囲む西アフリカ諸国を、クーデターに反対する勢力として示している。具体的には、アルジェリア、モーリタニア、ガンビア、ギニアビサウ、シエラレオネ、リベリア、ガーナ、トーゴの8カ国がこれにあたる。さらにECOWAS連合軍のメンバーとして、セネガル、コートジボワール、ベナン、ナイジェリアの4カ国を示している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米メーシーズ、第4四半期利益が予想超え 関税影響で

ワールド

ブラジル副大統領、米商務長官と「前向きな会談」 関

ワールド

トランプ氏「日本に米国防衛する必要ない」、日米安保

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中