中ロ艦船11隻がアラスカ沖に接近、米駆逐艦4隻と対峙 初の大船団に一時緊張
Aleutian islands standoff as U.S. faces off Russian-Chinese Navy in Alaska
アラスカ沖にも、P-A「ポセイドン」哨戒機と駆逐艦4隻が出動した(写真は2016年6月、南シナ海) Peter Hermes Furian-Shutterstock
<合わせて11隻という大規模な船団の接近を受けアメリカは駆逐艦と哨戒機で追跡・監視した>
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は8月6日、ロシアと中国の艦船11隻が先週、米アラスカ沖アリューシャン列島の近くの海域を航行したと報じた。これを受けて、アメリカの駆逐艦4隻とP8哨戒機「ポセイドン」が追跡と監視を行ったということだ。
これほど大規模な船団が米海岸に接近したのは初めてとみられるが、同紙によれば、ロシアと中国の艦船はいずれも、米国の領海に侵入することなく離れていった。
アリューシャン列島は14の大きな島と55の小さな島で構成されており、その大部分はアメリカに属しているが、一部はロシアに属している。同列島とアラスカは、地理的に中国とロシアの両方に近く、中国、ロシアとアメリカの地政学的な対立の影響を受けやすい位置にある。
米北方軍の報道官はウォール・ストリート・ジャーナルに対して、ロシアと中国が合同でアラスカ近辺を巡回していたことは認めたが、艦船の数や正確な位置については明らかにしなかった。
同報道官は声明で、「米北方軍の指揮下にある空軍と海軍が運用する資産が、アメリカとカナダの防衛を確保するための作戦を実行した。(中国とロシアの)艦船による巡回は国際水域内にとどまり、脅威とは見なされなかった」と述べた。
本誌はこの件について、7日に中国とロシアの国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。
中ロ合同で太平洋を巡回
ロシア国防省は4日付の報道発表の中で、ロシアと中国の艦船が合同で訓練を行ったと発表。戦術的操縦訓練や通信訓練、さらに互いの艦船の甲板からヘリコプターを離着陸させる訓練が含まれ、また艦船の乗組員らは巡回任務で2300海里超を移動したと明らかにしたが、アリューシャン列島への言及はなかった。
ロシア国営タス通信は7月28日、「ロシアと中国の艦船」が太平洋で合同巡回を実施したと報道。その目的について、「ロシア海軍と中国海軍の協力強化、アジア太平洋地域の平和と安定の維持、沖合の海域の監視、およびロシアと中国の海洋経済活動の対象の警備」だと述べた。
タス通信によれば、中国国防省もこの合同演習が実施されたことを認め、「第三国を対象にしたものでも、現在の国際情勢や地域情勢と関係するものでもない」とコメントした。
アラスカ州選出のダン・サリバン上院議員とリサ・マーカウスキー上院議員は、5日に声明を発表。「数日前からアラスカ軍の指導部と緊密に連絡を取っており、アリューシャン列島の米海域を航行する外国の船舶については、機密扱いの詳細なブリーフィングを受けている」と述べた。