フィッチによる史上2番目の米国債格下げの根拠ってこんなに些細なことだったのか
Why Fitch's Credit Downgrade Is A Serious Debt Warning
米国債の格付けを最上級から格下げした2番目の会社、フィッチのロンドンオフィス Reinhard Krause-REUTERS
格付け会社フィッチ・レーティングスは8月1日、長期外貨建ての米国債の格付けを最上級の「AAA」から「AA+」に引き下げた。米連邦政府に対して、過大な財政支出と借り入れの習慣を変えなければ、米経済や世界経済にとって深刻な結果を招くことになりという警告を突きつけた。ジャネット・イエレン米財務長官は、この格付けの引き下げについて「正当な根拠がまったくない」と異論を唱えた。
フィッチの広報担当を務めるエリザベス・フォガティは、米オンライン紙「アイビータイムズ」に宛てた声明の中で、今回の判断について「政治的な二極化や財政赤字の悪化、債務負担の高まり」など複数の要因を考慮した結果だと述べた。
声明は「過去20年間、財政のガバナンスが悪化しており、また政治的な二極化が進んでいることが、債務上限をめぐる度重なるこう着状態につながっている」と述べた。「社会保障制度やメディケア(高齢者医療保険制度)などの中期的な問題について、財政面や債務面で適切な対処が行われるという信頼感もそのせいで低下した」
米国債の格下げはウォール街に衝撃をもたらし、8月2日の取引ではS&P500とダウ平均、ナスダック(米店頭市場)総合指数の主要3指数すべてが約1~2%下落した。
2011年のS&Pの判断は正しかった?
今回のフィッチによる格下げは、S&Pグローバルが2011年に長期格付けを最上級の「AAA」から「AAプラス」に1段階引き下げた史上初の判断に次ぐものだ。
S&Pはその後格付けを据え置いているが、「もしも政治に悪影響を及ぼす予想外の出来事が、アメリカを支える制度の強さや長期的な政策決定の妨げになったり、世界の主要な準備通貨としてのドルの地位を危うくしたりした場合」には、今後2~3年で再び米国の格付けを引き下げる可能性があると警告した。逆に再び格付けを最上級に引き上げることがあるとすればそれは、「効果的かつ積極的な公共政策が実施され、公的債務の増大が止まって財政の健全性が回復」したときだと述べた。
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、7月13日に公表したメモの中で、米国債の「AAA」の格付けを維持すると確認した。だが、財政面の課題解決の見通しが薄いままなら、やはり格付けを引き下げる可能性はあると述べた。