フィッチによる史上2番目の米国債格下げの根拠ってこんなに些細なことだったのか
Why Fitch's Credit Downgrade Is A Serious Debt Warning
ムーディーズの推定では、「現行の政策決定に基づくと、連邦政府の債務残高は今後10年間で対GDP比120%前後まで増加する」。一方、歳入とGDPの伸びより金利負担の伸びが大きくなるため、実質的な債務負担はずっと速いペースで悪化するだろう」
アイビータイムズが8月2日にインタビューを行った多くの経済アナリストは、格付けの引き下げについて、米国の借り入れ能力や主要な準備通貨としての地位に大きな影響はないとの見通しを示した。格下げされても、米国債は依然として国内外の投資家にとって魅力的な投資先であり、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性はきわめて低いというのだ。
米シンクタンク「ランド研究所」の上級研究員であるジョナサン・ウェルバーンはインタビューの中で、米議会は債務上限をめぐる交渉をやめるべきだというのがフィッチのメッセージだと指摘した。政治的なこう着状態が繰り返されると、米国の債務返済能力に対する信頼が損なわれるためだ。
高齢化に伴うコスト増をどう賄う
米シンクタンク「ケイトー研究所」の予算および給付金政策担当ディレクターを務めるロミーナ・ボッチアは、6月に成立した米国の債務上限引き上げ合意も支出や収入に関する主要な問題を解決するものではなく、債務上限の交渉を(米大統領選挙の後の)2025年1月に先送りするものにすぎないと説明。米国民の高齢化に伴ってメディケアと社会保障のコストが上昇するため、今後も債務は増大を続けるだろうと述べた。
だがミシガン大学フォード公共政策大学院のジャスティン・ウォルファース教授(公共政策・経済学)は、一つの政党が債務を気にかけていないような行動を取り始め、返済しないかもしれないと威嚇すれば、債権者の信頼を失うことになると言う。そうなれば格付けはさらに引き下がって、米政府の借り入れコストはさらに膨らむと指摘した。