改めて問う、F-16はウクライナ反攻にどう役立つのか
How F-16 Deliveries Can Boost Ukraine's Counteroffensive
遂にやってくる!デンマークの空軍基地でF-16に載ったウクライナのゼレンスキー大統領(8月30日) Ukrainian Armed Forces/REUTERS
<デンマークとオランダからウクライナに対するF-16戦闘機の供与が決定。戦場に投入されれば、ウクライナ軍の反攻を成功に導く可能性がある>
デンマークとオランダが、ウクライナに米製戦闘機F-16を供与する意向を明らかにした。元米軍幹部によれば、F-16はロシアに占領された国土の奪還をめざすウクライナの反転攻勢を後押しすることになるだろう。
米国務省は8月18日、ウクライナ人パイロットに対する操縦訓練が完了した時点で、F-16はウクライナに提供されると発表。それによってウクライナ軍は「その新しい能力を最大限に活用する」ことが可能になると述べた。
供与されるのはデンマークとオランダが保有している機体だが、F-16戦闘機はアメリカ製なので、供与にはアメリカ政府の承認が必要となる。
オランダはF-16を24機保有していると見られているが、より先進的な戦闘機への置き換えが決まっているので、今後、使用の予定はない。デンマークもまた、保有するF-16約30機のアップグレードを計画している。
アメリカは、ウラジーミル・プーチン大統領が戦争を拡大させかねない動きを避けようとしており、これまでウクライナ軍が使用してきた主に旧ソ連時代の航空機よりも先進的な航空機をウクライナに提供することに消極的だった。
だがジョー・バイデン大統領は今年5月、広島で行われたG7サミットでこれまでの姿勢を覆し、欧州の同盟国によるF-16の供与を容認し、訓練を促進することを明らかにした。
黄色は付け足し部分
反攻の成否を左右
18日の発表はウクライナから大歓迎されたが、ロシアの航空優勢に対抗するためにF-16を使用できるようになるまでには数カ月かかると予想されている。
「F-16戦闘機が十分な数、十分なスピードで提供されれば、ウクライナは占領された土地を取り戻し、守ることができるようになるだろう」と、米軍のゴードン・B・"スキップ"・デービス・ジュニア少将は本誌に電子メールでコメントを寄せた。
F-16のような西側の戦闘機は、ロシア製戦闘機よりも優れたレーダーや航空電子機器、誘導システムを備えている。精密誘導ミサイルや爆弾といった兵器の搭載が可能で、飛行速度は時速約2400キロに対する。F-16のターゲット能力のおかげで、ウクライナ軍はあらゆる状況下でロシア軍をより正確に攻撃することができるようになる。
欧州政策分析センター(CEPA)の上級研究員であるデービスは、F-16戦闘機が航空機による攻撃阻止や地上支援の役割を果たし、「防衛・反攻作戦を支援するために大いに必要とされるスタンドオフ攻撃(敵の対空ミサイルの射程外から攻撃する)能力を提供するだろう」と述べた。
F-16はロシアの指揮通信や後方支援、防空、電子戦能力を狙うこともできる。「防空や空対空の役割を果たす戦闘機は、ロシアのミグ戦闘機を打ち負かすことができるし、適切なレーダーと弾薬があれば、ドローンや巡航ミサイルをやっつけることもできる」と、デービスは言う。
戦闘機とともに西側の戦闘車両、長距離射撃、防空システムを導入すれば、ウクライナ軍は反攻を成功させることができる。