ロシア軍機の墜落、5機に1機は「自損」と判明(本誌調べ)
Revealed: One in Five of Russian Air Force Losses During War Self-Inflicted
高度な飛行技術を誇るロシア空軍のはずが(写真は2021年7月モスクワ郊外、スホーイSu35S戦闘機のアクロバット飛行) REUTERS/Tatyana Makeyeva
<ロシアが誇る航空戦力が使い物にならない実態が明らかに>
ウクライナ侵攻開始後のこの1年半に破壊が確認されたロシア空軍の有人機とヘリコプターのうち、5機に1機以上は「自損事故」で墜落していたことが、本誌が集計したデータで分かった。
ロシア軍が国境を越えてウクライナに侵入した2022年2月24日〜2023年8月17日までに、ジェット機、ヘリ、輸送機などロシア軍の有人機の確認された墜落件数の21.7%は、操縦ミス、友軍の攻撃、ウクライナ侵攻に直接関係のない事故など、ロシア空軍の組織的な機能不全に起因するものだった。
ロシア軍機が訓練中など自軍のミスで墜落する確率が際立って高いのはなぜか。専門家によれば、いくつかの複合的な要因が絡んでいる。不十分な点検・整備、パイロットの訓練不足、安全対策の不備など、運用に問題があることは言うまでもないが、それだけではない。
本誌は公開情報分析(OSINT)サイトのOryxで墜落が確認されたロシア軍機の数を確認。それとは別に、自軍のミスで墜落した軍用機の数(Oryxのリストにないものも含まれる)をロシア政府の発表と地元メディアの報道を突き合わせて独自に集計した。
スホーイやミグ、攻撃ヘリのアリゲーターも
Oryxのデータによれば、侵攻開始から8月17日までにロシア軍は有人機とヘリ186機を失ったことが確認されている。うち13機は「非戦闘時」の墜落によるものだ。これに対し本誌が突き止め、メディアの報道で確認した、戦闘以外の理由で失われたロシア軍機は8月17日時点で少なくとも48機に上る。その中にはスホーイSu25戦闘攻撃機7機、ミグ31超音速迎撃機4機、ロシアが誇るKa52偵察攻撃ヘリ「アリゲーター」3機が含まれる。
この48機には、ウクライナ軍が撃墜した有人機とヘリは含まれない。
Oryxのデータでは、この1年半の戦闘で、画像などで視覚的に墜落が確認されたロシア軍機は、戦闘機78機、戦略爆撃機2機、空中指揮管制機2機、輸送機2機、それにヘリが102機で、合計186機に上る。これに加え、本誌の独自調査で有人機17機、ヘリ18機の墜落が確認されたため、ロシア軍は少なくとも221機を失ったとみていい。
ウクライナ軍の公式発表では、この数字はもっと多い。8月17日時点でロシア軍は有人機315機、軍用ヘリ314機を失ったとされているが、本誌はこれを確認できなかったため、Oryxと独自のデータに基づいて敵の攻撃以外の理由で墜落したロシア軍機の割合を算出した。