ロシアの月着陸失敗後、プロジェクトを率いた大物科学者も入院 次はインドの月着陸が目前だ
Top Russian rocket scientist hospitalized after Luna-25 moon mission crash
月を目指したロシアのルナ25号(8月16日) Roscosmos/ REUTERS
<半世紀越しの月探査プロジェクトの失敗で、宇宙大国ロシアの時代は終わった>
ロシアが打ち上げた無人月探査機「ルナ25号」が8月20日、月面に衝突した。旧ソ連時代以来およそ半世紀ぶりの月面探査は失敗。月の南極付近に着陸させることができれば世界初の快挙となるはずだったが、その栄冠は数日でインドのものになるかもしれない。
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ルナ25号が月面に衝突した後、ロシアトップの科学者・天文学者のミハイル・マロフ(90)が病院に搬送されていた。
ソ連の宇宙開発プログラムを率いた一人であるマロフは20日、ロシアの経済紙RBCに対して、月探査は自分の生涯をかけた仕事であり、ミッションの失敗を聞いた後に病院に搬送されたと語った。
無人月探査機「ルナ25号」は21日に月の南極付近に着陸する見通しだったが、軌道を外れて制御不能となり、月面に衝突した。ロシア国営宇宙企業ロスコスモスは19日、「ルナ25号」との通信が途絶えたと発表した。ロシアの月探査機打ち上げは、ソ連時代の1976年以来およそ半世紀ぶりだった。
「ルナ25号を(月面に)着陸させられなかったことは残念だ」とマロフは述べた。「今回のミッションは私にとって、ロシアの月面探査計画の復活を目にすることができる、おそらく最後のチャンスだった」
マロフはRBCに対して、現在はモスクワの大統領府近くにある大統領府中央病院の医師団の管理下にあると語った。彼はまたロシア当局に対して、ルナ25号が月面に衝突した理由について沈黙せずに公表し議論すべきだと呼びかけた。
弾圧の果てに
マロフはソビエト連邦時代の宇宙探査計画の策定および実行において重要な役割を果たし、初の火星および金星探査計画にも携わっていた。
今回の無人月探査機「ルナ25号」は8月11日の午前2時(現地時間)、モスクワから約5550キロメートル東に位置するロシア極東アムール州のボストチヌイ宇宙基地から打ち上げられた。
米NASAによれば、今回のミッションの目標は主に2つ。月の極地の表土の組成を調べることと、月の極圏上空にあるプラズマや塵を調べることだ。ルナ25号は月面に着陸後、1年をかけて月面の探査を行う予定だった。
ロシア出身で現在は米シカゴ大学の政治経済学者であるコンスタンチン・ソニンはX(旧ツイッター)への投稿の中で、今回のミッションはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「知識人を弾圧し、科学と教育を攻撃し、戦争を仕掛けておきながら、虚栄心も満たそうとしたプロジェクト」だと述べた。