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「偏った報道に違和感...」タイタン号のクルーに「なりそびれた」ジャーナリストの告白

I Was Almost on the Titan

2023年7月27日(木)14時30分
シャレル・コルバーグ(トラベルライター)

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筆者は資金不足で乗船を断念 COURTESY SHARAEL KOLBER

参加費調達でつまずく

北大西洋の深海への旅が数カ月後に迫った頃、私は5000ドルの資金か助成金を獲得しようと企業や団体にメールを送ったが、収穫はなかった。私の記事と同等のPR効果を得るのに必要な広告費に比べれば記事のほうがはるかに経済的だ、とオーシャンゲートの広報担当者に訴えてみたが、駄目だった。私の枠は25万ドルを払う参加者に回されることになった。

がっかりした。「一生に1度の記事」を書こうと必死で頑張ったのに。でも同社の考えを変えさせる方法はなかった。金がものをいうのだ。「来年がある」と自分に言い聞かせた。来年も2回のツアーが予定されていることを知っていたからだ。

潜水艇の捜索が始まったときは何とも言えない気持ちだった。こうして愛犬と一緒に自宅のソファで行方不明の潜水艇のニュースを見ているのではなく、私も赤の他人4人と潜水艇の暗く冷たく狭苦しい空間で助かるように祈っていたかもしれない......。実際の結末はもっと悲惨だった。現実とは思えなかった。

偏った報道に違和感

事故の続報を追い続けていて気になったのは、メディアのセンセーショナルな取り上げ方だ。彼らはこれが「観光」ツアーで、タイタン号は既製の部品の寄せ集めだったかのように報じていた。

私は仕事柄、調査と議論を何カ月も重ねて集めた情報を知っていただけに、ショックだった。メディアははるかに大きな構図を非常に狭い視野で伝え、故意に最も不利な情報ばかり取り上げて、視聴者が自分なりの判断を下せるような重要な情報は伝えていなかった。

6月22日木曜日、恐れていた最悪の事態が現実になった──5人のクルーは全員助からなかった。即死で苦しまずに済んだらしいのがせめてもの救いだった。当局の発表がテレビ中継されると夫は泣いて私を抱き締めた。遺族のことを思い、私の心は沈んだ。

私がタイタン号に乗っていたら私の家族はどんな思いをしたことか。私が乳癌を克服したばかりだっただけに、なおさらだ。ほっとすると同時にやましさも感じた。なぜ私ではなかったのか。私はこれで2度、死を免れた。こうして生きているのには、きっと理由があるはずだ。

私が集めた情報によればクルーは素晴らしい人ばかりで、偉業を成し遂げ、ずば抜けた知性を持ち、途方もなく勇敢で、熱い人生を送っていた。

私が死を免れた理由はまだ分からない。私に分かるのは、タイタン号のクルーが人生を精いっぱい生きたこと。彼らは好奇心と情熱にあふれ、恐れたり後悔したりせず、自分が大好きなことをした。私たちも彼らを見習いたい。

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