最新記事
北朝鮮

進む北朝鮮の核開発、高まる核戦争のリスク...日米韓に戦略転換の刻が迫る

MOVING TO DETERRENCE

2023年7月19日(水)12時30分
アンキット・パンダ(カーネギー国際平和財団シニアフェロー)

かつてソ連との間で交渉による抑制の重要性を学んだように、北朝鮮をめぐって、アメリカと同盟国は戦略的安定を追求すべきだ。とはいえ、北朝鮮の非核化を完全に諦める必要はない。核軍縮交渉の実施を義務付ける核拡散防止条約(NPT)第6条に対して締約国のアメリカなどが取っている姿勢と同様、長期目標として捉えればいい。

現行政策の維持には、今後もほとんど効果が望めない。制裁や圧力を受けても、北朝鮮は核開発の道を突き進んできた。さらに、北東アジアの地政学的潮流の変化で、ロシアや中国は北朝鮮の戦略的目標に対する支持を強めるはずだ。

 
 
 
 

新たなアプローチで臨まなければ、北朝鮮は歩みを止めないだろう。より強気で装備が整った北朝鮮と対決することになれば、アメリカと同盟国は損害を免れない。

日本への影響

日本が国家防衛戦略の野心的な見直しに乗り出し、反撃能力の保有を明らかにしたなか、列車や水中サイロを含む北朝鮮の核発射手段の多様化は、標的を定める上で問題になるだろう。有事の際に、北朝鮮指導部や核兵器に関する指揮系統を標的にするとの意思を公然と示すことも、日本は避けるべきだ。

際限ないエスカレーションの動機を、北朝鮮に与えてはならない。何よりも日本はアメリカと共に、北朝鮮のミサイル攻撃で想定される最大の被害を食い止めつつ、エスカレーションに対処し、目標を実現する方法を探るべきだ。

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏

ビジネス

金、3100ドルの大台突破 四半期上昇幅は86年以

ビジネス

NY外為市場・午前=円が対ドルで上昇、相互関税発表

ビジネス

ヘッジファンド、米関税懸念でハイテク株に売り=ゴー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中