進む北朝鮮の核開発、高まる核戦争のリスク...日米韓に戦略転換の刻が迫る
MOVING TO DETERRENCE
かつてソ連との間で交渉による抑制の重要性を学んだように、北朝鮮をめぐって、アメリカと同盟国は戦略的安定を追求すべきだ。とはいえ、北朝鮮の非核化を完全に諦める必要はない。核軍縮交渉の実施を義務付ける核拡散防止条約(NPT)第6条に対して締約国のアメリカなどが取っている姿勢と同様、長期目標として捉えればいい。
現行政策の維持には、今後もほとんど効果が望めない。制裁や圧力を受けても、北朝鮮は核開発の道を突き進んできた。さらに、北東アジアの地政学的潮流の変化で、ロシアや中国は北朝鮮の戦略的目標に対する支持を強めるはずだ。
新たなアプローチで臨まなければ、北朝鮮は歩みを止めないだろう。より強気で装備が整った北朝鮮と対決することになれば、アメリカと同盟国は損害を免れない。
日本への影響
日本が国家防衛戦略の野心的な見直しに乗り出し、反撃能力の保有を明らかにしたなか、列車や水中サイロを含む北朝鮮の核発射手段の多様化は、標的を定める上で問題になるだろう。有事の際に、北朝鮮指導部や核兵器に関する指揮系統を標的にするとの意思を公然と示すことも、日本は避けるべきだ。
際限ないエスカレーションの動機を、北朝鮮に与えてはならない。何よりも日本はアメリカと共に、北朝鮮のミサイル攻撃で想定される最大の被害を食い止めつつ、エスカレーションに対処し、目標を実現する方法を探るべきだ。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら