最新記事
注目ニュースを動画で解説

ロシア国民にバレた...プリゴジンが暴いたプーチンの無力さ 「裸の王様」はもう限界?【注目ニュースを動画で解説】

2023年7月13日(木)16時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
プリゴジンが暴いたプーチンの虚像

Newsweek Japan-YouTube

<プリゴジンの反乱への対応で指導力のなさ、決断力の弱さが露呈したプーチン。いかにして「絶対権力者」のイメージが崩壊したかを解説するアニメーション動画の内容を一部紹介>

子飼いの部下から挑戦状を突き付けられ、絶対独裁者が右往左往。多くのロシア人、とりわけ権力の中枢にいる者たちまで反乱の行方を傍観する始末。「プリゴジンの乱」で明らかになったプーチンの痛ましい欠点とは──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「ロシア国民にバレた...プリゴジンが暴いたプーチンの無力さ 「裸の王様」はどうやって権力を維持してきたのか?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

◇ ◇ ◇

6月24日の昼前、民間軍事会社ワグネルの戦闘部隊がロシア軍に反旗を翻したことを受けてウラジーミル・プーチン大統領は緊急演説を行った。ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジンの名こそ挙げなかったものの、断固たる懲罰を科すと全国民に対して約束した。

nwyt0713_1.jpg

しかし、その決意は1日ともたず、クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフは大統領演説と正反対の声明を発表。プリゴジンを反逆罪に問うことはない、彼はベラルーシに亡命する、反乱に参加した戦闘員が退却すれば罪に問わない......。

国営メディアは、無用な流血を避けるための寛大な措置と言いくるめようとしたものの、誰も額面どおりには受け取らなかった。

nwyt0713_3.jpg

いつもなら都合の悪いことが起きると部下の誰かに責任を押し付けて国民をそらすプーチンだが、今回はそうはいかなかった。なにしろ大軍を率いて首都へ進撃してきたのは、自身の最も忠実な部下の1人だったのだ。

顔を出し、テレビを通じて反乱鎮圧まで宣言したにもかかわらず、正規軍も治安部隊も秘密警察も動かず、プーチンの命令を実行しようとしなかった。ロシア国民の目には、プーチンが机上の軍隊を動かしているだけと映ったことだろう。

nwyt0713_5.jpg

最悪なことに、この時点で大統領支持を表明する有力者は一人もいなかった。反乱鎮圧の方針が撤回されるまでの間、彼らは様子見を決め込んだのだ。

「自分たちの指導者が事態を掌握できていないのではないか」という不安は国内で確実に広がっている。

ワグネルの反乱ではロシア空軍機の操縦士を含む10人以上の死者が出たにもかかわらず、その情報がすぐにもみ消されたことで怒りを感じた国民も少なくない。

nwyt0713_6.jpg

今回の反乱で反プーチンの守旧派も活気づき、反プーチンで結束し始めている。過激な民族主義者のウラジスラフ・ポズニャコフは「プーチンは現実から切り離されたファンタジーの世界に住んでいる」とこき下ろした。

多くのロシア人、とりわけ権力の中枢にいる人たちが反乱の行方を傍観したのも前代未聞の事態だ。親プーチン派でさえも騒動中は沈黙を貫いた。

nwyt0713_7.jpg

反乱の芽を摘むことができず、鎮圧するという約束も守れない──決断力のなさと弱さが今回で明らかになった。「裸の王様」であることがバレたのだ。

「無慈悲な支配者」というイメージが崩壊したプーチンを待つのは、自滅の道だろうか──。

nwyt0713_9.jpg

■詳しくは動画をご覧ください。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン

ワールド

国際援助金減少で食糧難5800万人 国連世界食糧計

ビジネス

米国株式市場=続落、関税巡るインフレ懸念高まる テ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中