プーチンが「裏切り者」のプリゴジンと会談していたことで深まった反乱の謎
Putin-Prigozhin meeting reveals Kremlin's lingering Wagner problem
アンドリウカイティスは本誌に対して、「これはプーチン自らプリゴジンと面会する必要があったということだ。今後の状況についての予測が困難で、彼にはそれ以外にあまり選択肢がなかった」と説明する。「だが、ロシア政府がこれを大々的に発表したという事実については、やや奇妙に思える」
その一つの理由について彼は、メディアなどでプーチンが「影武者」を使っているという憶測があることを挙げた。「プーチンの健康状態が最高の状態ではないと信じるに足る理由は十分にある」と彼は指摘。ロシア政府がプリゴジンとの会談の事実を認めたことは、「プーチンは大丈夫だという神話を維持するためにロシア政府が考えたことだろう」と分析した。
デジタルフォレンジック研究所は6月に行った調査で、プリゴジンが6月23日に公開した動画の中で、ロシア政府がウクライナ侵攻に踏み切った根拠を「ロシア軍上層部がでっち上げた)嘘」だと非難していることについて、「ロシアの独裁者プーチンの盟友が、ウクライナ戦争に関するロシア政府の主張の誤りを突いた最も重要な暴露」だったと結論づけた。
排除したくてもできない事情
アンドリウカイティスは、(ショイグとゲラシモフの解任など)プリゴジンの主な要求が実現されておらず、ワグネルの部隊がロシア国防省との契約に合意していないことは、注目すべき事実だと指摘した。ロシア国防省が先週と7月10日に公開した動画からは、ショイグもゲラシモフも解任されることなく職務を続行している様子がうかがえる。
アフリカで大きな影響力と鉱物資源などへのアクセスを持っているワグネルは、プーチンにとって重要な資産だ。このことはプーチンが今後も、自らの政権基盤を揺るがした人物と手を組んでいかなければならない可能性があることを意味している。
「可能性は低いが、もしもプリゴジンが何らかの理由でロシアを追放されても、ほかの国は彼を追い出さないだろう。彼の代わりになる人物はいないし、そのことは誰もが理解しているからだ」とアンドリウカイティスは述べた。「それが、彼ら(ロシア政府)がプリゴジンを容易に排除できない理由の一つだ――たとえ排除したくても」
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