最新記事
ワグネル

ワグネル戦闘員の到着をベラルーシ反体制派が「待ち焦がれる」理由

Prigozhin Is 'Not Safe' From Putin in Belarus, Resistance Says

2023年7月5日(水)10時00分
デービッド・ブレナン

ワグネルの戦闘員(武装蜂起した6月24日、ロシア南部のロストフ・ナ・ドヌで)REUTERS

<ベラルーシのルカシェンコ政権はロシア軍上層部に反乱を起こしたプリゴジンと配下のワグネル部隊を受け入れたが、現地の反体制派はその危険な力を利用しようとしている>

<動画>ロシアが誇る「空飛ぶ戦車」

ロシアの民間軍事組織ワグネルの戦闘員は、ベラルーシで独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領と戦う反体制派の歓迎を受けることになりそうだ。

海外亡命中のベラルーシのある反体制派は、民主化運動と連携するベラルーシのパルチザン、活動家、当局者はこぞって、ウラジーミル・プーチン大統領に対して武装蜂起してベラルーシに亡命したワグネル代表のエフゲニー・プリゴジンと、彼を追って来るワグネルの戦闘員を「温かく歓迎」するつもりだ、と言う。

2020年の大統領選でルカシェンコと勝利を争ったベラルーシの反体制指導者で亡命中のスベトラーナ・チハノフスカヤの最高政治顧問、フラナク・ビアチョルカは、ベラルーシに滞在するワグネルの部隊は、復讐に燃えるプーチン政権に脅かされることになるだろう、と本誌に語った。ベラルーシの軍事・治安組織内の有力者も決してワグネルに好意的ではない。

周辺国もワグネルの存在が不安

プリゴジンと彼に従う数千のワグネルの戦闘員は、ベラルーシに駐留する予定だと伝えられる。プーチンはワグネルの蜂起を「反逆罪」だと非難し、報復すると脅したが、ルカシェンコ大統領の保護の下、ロシアを離れるという取引を持ちかけられた。

だが、「プリゴジンがベラルーシに長期滞在するとは思えない」と、ビアチョルカはインタビューで語った。

「ベラルーシはプーチンの支配下にあるから、プーチンがプリゴジンを殺せと命じれば......そうなるだろう。ベラルーシは安全な場所ではない」

プラネット・ラボ社による最近の衛星画像によると」、ベラルーシに数千人規模の軍隊を収容できる軍事基地らしきものが作られている。そこにワグネルの戦闘員が駐留することになれば、非常に戦闘力が高く半自律的な戦闘部隊が国境まで車で数時間の場所に出現することになるのではないかと、周辺のEU諸国は神経質になっている。

ベラルーシと隣接するヨーロッパ各国の外交官たちは、国境地帯での新たな挑発行為を恐れて、ワグネルのベラルーシ到着を「注視し、評価している」と本誌に語った。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル、ガザ軍事作戦拡大 国連診療所などへの攻

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中