最新記事
武装蜂起

元ロシア軍司令官イーゴリ・ギルキン「プリゴジンを処刑せよ。ロシア国家を守るために」

Ex-Army leader wants Wagner leader Prigozhin killed

2023年6月27日(火)17時15分
アンドリュー・スタントン

ウクライナ東部の紛争で分離派の指揮官だったギルギン(5月12日)Maxim Shemetov-REUTERS

<もしワグネルの解体に失敗すれば、プリゴジンは次期大統領としてプーチンの対立候補になるかもしれない?>

<動画>弱いロシア軍に不満?プーチンが露骨にショイグをシカトする驚愕映像

民間軍事会社ワグネル・グループの創設者であるエフゲニー・プリゴジンがロシア指導部に反旗を翻したことを受けて、ロシア軍の元司令官イーゴリ・ギルキンが6月26日、プリゴジンを殺害すべきだと呼びかけた。

プリゴジンはかつてプーチンの盟友とされ、ワグネルの部隊はウクライナ軍と激戦の末ウクライナ東部の要衝バフムトを制圧するなどその戦功は高く評価されている。だが今回の反乱が失敗したことで、プリゴジンが今後どうなるのか疑問視する声が噴出している。

ロシアと同盟関係にある隣国ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介に応じたロシア側は、プリゴジンのベラルーシへの出国を認め、刑事訴追を取り下げることで合意したとしている。だがロシアのコメルサント紙によれば、ロシア連邦保安局(FSB)が今も、プリゴジンについての捜査を続けていると報じた。

「『プーチンの料理人』を処刑せよ」

だがギルキンにとっては、プリゴジンに対する処分は刑事訴追では到底足りないようだ。ギルキンはロシアの著名な軍事ブロガーで、2014年にロシアがクリミアを一方的に併合した際には指揮官として重要な役割を果たした。さらに2022年には、2014年にウクライナ上空でマレーシア航空機が撃墜された事件で有罪判決を受けたことでも知られている。

ギルキンは26日、メッセージアプリ「テレグラム」への投稿の中で、ロシア政府に対してプリゴジンの処刑を要求した。

「ワグネルの全ての司令官や戦闘員が処刑されるべきだとは思わない。だがロシア国家を守るためには、反逆罪と将校らを殺害した罪で『料理人(プリゴジンの異名)』を処刑することが必要だ」と彼は書いた。

プリゴジンの今後については、26日の時点ではっきりしたことは分かっておらず、武装蜂起を試みた罪で刑事訴追されるかどうかについて、メディアの報道や政府関係者の見解は割れている。ロシアの独立系メディア「iStories」は、ワグネルの戦闘員らがモスクワを目指して進軍していた週末、プーチンがワグネルの戦闘員については投降すれば罪に問わない方針を示す一方で、プリゴジンについては治安部隊に「排除」を要請したと報じた。

本誌はこの件についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 9
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中