イスラエル極右政権の復権と報復の連鎖──止まらない民衆間の暴力
一方でパレスチナ側の抵抗運動も、より一層武装化し過激化しつつある。パレスチナ警察はオスロ合意により創設された「イスラエルの手先」とみなされ、その取り締まりに対しては反発こそ強まるものの、従わせる威力は乏しい。
これまでの例を見ても、ガザ地区への空爆などイスラエル側から攻撃が強まると、パレスチナ人の間で武装抵抗運動への支持は急速に高まる。そのため入植者やイスラエル軍による自治区への暴力行使が続く以上、抵抗の過激化は続くと予想される。
こうした動向の中で注目されるのは、近年みられるパレスチナ自治区内での新たな抵抗勢力の登場だ。10代から30代の若者を中心とした投石や銃を用いた攻撃が徐々に組織化され、西岸地区では「ジェニン旅団」や「ライオンの巣」など新しい勢力が生まれ、組織を拡大している。
ファタハやハマースなど既存の組織や政治家が政治不信を招く中、これらの組織はイスラエルに対する直接の抵抗運動により、パレスチナ自治区の中で人気を集めつつあるようだ。世論調査では72 %がこれらの組織を支持し、自治政府警察による関係者の拘束を87%が批判しているという。
新しく生まれた抵抗組織が今後どこまで存続し、影響力を拡大するのかはまだ定かではない。各組織のメンバーはイスラエル軍により短期間のうちに殺害されるか、自治政府に拘束されている。
パレスチナ側の抵抗運動が強まるたびに噂される「第三次インティファーダ(民衆蜂起)」に発展していく可能性があるのかは、いまだ未知数だ。
とはいえ占領と弾圧への鬱屈した不満が蓄積される中、草の根組織が多数作られ組織化されていく状況は、1987年に第一次インティファーダが始まった状況と重なる側面も少なくない。何かが発火点となり、自治区全体を巻き込む大規模な抵抗運動に発展する可能性は皆無ではなく、またイスラエル側で火種を起こしそうな役者には不足しない。いざ炎が燃え盛り始めた後、誰がどのように事態を収拾するのか、暗雲はその厚さを増していくばかりである。
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