経済的困窮からアルバイトを迫られる高校生に救いの手を
家庭の経済力とアルバイトの関連は、個人単位のデータでも明らかにできる。<図2>は、2019年に国立青少年教育振興機構が実施した調査のデータをもとに作成したグラフだ。高校2年生の男女を家庭の経済状況でグループ分けし、アルバイトの経験がある者の率を視覚化している。
家庭の経済状況が厳しいグループほど、アルバイトとの経験率が高い傾向にある(特に女子)。冒頭のNPO調査で言われているように、大学進学の費用や授業料等を自分で稼ぐ必要に迫られるためだろう。困窮世帯にあっては、一家の稼ぎ手としての役割を負わされている生徒もいるかもしれない。
近年、家族のケアや介護を担わされる子ども(ヤング・ケアラー)の問題が取り沙汰されているが、適度な範囲を超えた労働で学費や進学の費用を稼がねばならない「ヤング・アーナー」にも目を向けられるべきと思う。子育て家庭を取り巻く経済状況が悪化しているだけに、なおのことだ。
時代と共に排除されてきた「児童労働」が、21世紀の今になって再び頭をもたげるようなことがあってはならない。
<資料:総務省『国勢調査』(2020年)、
国立青少年教育振興機構『青少年の体験活動等に関する意識調査』(2019年)>