最新記事
環境

米環境団体がスペースXのロケット打ち上げ認可取り消し求め訴訟「国立野生動物保護区の環境が悪化」

2023年5月2日(火)10時55分
ロイター
プラカードをもってスペースXのロケット打ち上げに反対する人々

複数の環境団体が5月1日、実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXのロケット打ち上げ事業は近隣の国立野生動物保護区に悪影響を及ぼすとして、米連邦航空局(FAA)に事業認可取り消しを求める訴訟を起こした。写真は反対派の抗議活動のようす Democracy Now! / YouTube

実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXのロケット打ち上げ事業は近隣の国立野生動物保護区に悪影響を及ぼすので、米連邦航空局(FAA)は事業認可を取り消せ――。複数の環境団体が1日、こうした訴訟を起こした。

テキサス州南部のスペースXの打ち上げ施設近くには、「ローワー・リオグランデ・バレー国立野生動物保護区」がある。

4月20日に同社が行った大型宇宙船「スターシップ」とロケット「スーパーヘビー」の打ち上げは、複数のエンジンが停止して機体姿勢が保てなくなったため、結局爆破して試験飛行を終了。この時に強化コンクリートや金属の破片が広範囲に散らばり、干潟などに降り注いだ。

訴状は、以前にも何度もロケットの爆発があり、保護動物や渡り鳥の生息地が破壊されているほか、打ち上げ施設の騒音や光、建設作業、道路渋滞なども保護区の環境を悪化させたと主張。大規模な事業の際には通常不可欠な環境影響評価報告書(EIS)なしにFAAが打ち上げを認めたのは違法で、認可の撤回とEIS策定を求めている。

マスク氏は4月29日のイベントで、今回のロケット打ち上げ後の爆発について「人工的な砂嵐」に過ぎず、環境への影響はないとの認識を示した。

FAA広報担当者は、進行中の訴訟に関するコメントはしないと述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中